【医師解説】男性更年期障害(LOH症候群)とは?原因・症状・治療法

小林知広

監修

小林知広

日本専門医機構認定 泌尿器科専門医


男性更年期障害(LOH症候群)はテストステロン低下により起こる医学的状態です。うつ病と誤解されやすい症状、診断基準、治療方針を泌尿器科専門医&テストステロン治療認定医の天拝坂こばやしクリニック小林が詳しく解説します。


この記事の要約(忙しい方へ)

  • 男性更年期障害(LOH症候群)は「症状+朝の総テストステロン低値」で評価する医学的状態である
  • うつ病と誤診されやすく、抗うつ薬で改善しない場合は男性ホルモン検査による鑑別が重要
  • 生活習慣の改善を土台とし、医学的適応がある場合のみ治療介入を検討する

監修者プロフィール

天拝坂こばやしクリニック 院長
小林 知広(こばやし ともひろ)

  • 日本専門医機構認定 泌尿器科専門医
  • 日本メンズヘルス医学会認定 テストステロン治療認定医

その「やる気低下」、年齢のせいだけではありません

「理由はわからないが、急にやる気が出なくなった」
「イライラしやすくなり、仕事に集中できない」
「うつ病と診断されたが、治療を続けても改善しない」

このような悩みを抱えながら、どこに相談すればよいか分からず困っている男性は少なくありません。その背景には**男性更年期障害(LOH症候群)**が関係していることがあります。

男性更年期障害は、気合や性格の問題ではなく、医学的に評価し、適切な対応を検討できる状態です。


男性更年期障害(LOH症候群)とは

男性更年期障害(LOH症候群)とは、加齢・ストレス・生活習慣の乱れ・肥満・慢性疾患などを背景として、男性ホルモン(テストステロン)が低下し、心身や性機能に不調が現れる状態を指します。

日本泌尿器科学会では「加齢男性性腺機能低下症候群」とも呼ばれており、症状とホルモン値を組み合わせて総合的に評価すべき状態と位置づけられています。

テストステロンは性機能だけでなく、意欲・気分・筋力・骨・代謝など全身の健康維持に深く関与するホルモンです。そのため、低下すると複数の症状が同時に出現するのが特徴です。


症状:うつ病と間違われやすい理由

男性更年期障害の症状は、大きく次の3つに分類されます。

1. 精神・心理症状

  • やる気が出ない
  • 抑うつ感、気分の落ち込み
  • イライラしやすい
  • 集中力・判断力の低下
  • 不眠、中途覚醒

2. 身体症状

  • 全身倦怠感、疲れやすさ
  • 筋力低下、筋肉量の減少
  • 内臓脂肪の増加
  • ほてり、発汗
  • 関節痛、筋肉痛

3. 性機能症状

  • 性欲の低下
  • 勃起の硬さや持続力の低下
  • 朝の勃起(朝立ち)が減った

精神症状が前面に出ると、うつ病や自律神経失調症と区別がつきにくくなります。実際に精神科での治療で改善が得られないまま悩み続けている方も多く見られます。


ガイドライン上の診断の考え方(重要)

日本泌尿器科学会の「LOH症候群 診療の手引き(2022年版)」では、数値のみで機械的に診断するのではなく、症状と血液検査結果を総合的に判断することが強調されています。

血液検査の基本

  • 採血は**朝(午前中)**に行います(テストステロンには日内変動があるため)
  • まず総テストステロンを中心に評価します
  • 目安として総テストステロン250 ng/dL未満を低値とします
  • 遊離テストステロンは補助的評価に位置づけられています

症状が強く、他の疾患を除外したうえで評価することが重要です。


院長の臨床エピソード

当院では、「うつ病として治療を受けてきたが改善しない」「急にやる気がなくなり、仕事が回らなくなった」という訴えで受診される方が多くいらっしゃいます。

よくある誤解として、次のようなものがあります。

  • 「心の問題だから精神科しか選択肢がない」
  • 「年齢のせいだから仕方ない」
  • 「自分の性格が弱いだけ」

実際には、検査でテストステロン低下が確認され、生活習慣の調整や必要に応じた治療を行うことで、「頭の霧が晴れた感じがする」「以前の自分に戻った感じがする」と表現される方もいらっしゃいます。


放置するリスクと受診のメリット

放置した場合のリスク

男性更年期障害を放置すると、次のような影響が生じる可能性があります。

  • 仕事のパフォーマンス低下
  • 人間関係の悪化
  • 抑うつ状態の長期化
  • 生活習慣病管理の遅れ

受診するメリット

一方で、泌尿器科で適切に評価することで、「原因が明確になる」「対処の方向性が見える」という安心感を得られるケースが少なくありません。


よくある質問(Q&A)

Q1. 何科を受診すればよいですか?

男性ホルモンと前立腺の両方を評価できる泌尿器科が適しています。

Q2. うつ病との違いは何ですか?

症状は似ていますが、血液検査でテストステロン値を客観的に評価できる点が大きな違いです。

Q3. 治療は必ずホルモン補充が必要ですか?

いいえ。生活習慣の調整のみで改善する方もいらっしゃいます。医学的適応がある場合のみ治療を検討します。


まとめ・行動喚起

男性更年期障害(LOH症候群)は、「年齢のせい」「気合不足」で片付けるべき問題ではありません。

太宰府市・筑紫野市・大野城市・春日市・小郡市周辺で、やる気低下や原因不明の不調に悩んでいる方は、一度、泌尿器科での評価をご検討ください。

当院は駐車場完備で、車での通院が可能です。仕事帰りや土曜日の受診にも対応しています。


監修者プロフィール(完全版)

【監修者】
天拝坂こばやしクリニック 院長
小林 知広(こばやし ともひろ)

【保有資格】

  • 日本専門医機構認定 泌尿器科専門医
  • 日本メンズヘルス医学会認定 テストステロン治療認定医

【経歴】

  • 2009年 島根大学医学部 卒業 / 武田病院 初期研修
  • 2011年 JR大阪鉄道病院 泌尿器科
  • 2015年 獨協医科大学越谷病院泌尿器科 助教
  • 2017年 京都ルネス病院 泌尿器科・透析科 医長
  • 2024年 天拝坂こばやしクリニック 院長

【受賞歴】
2015年 第34回アンドロロジー学会学術大会 臨床部門学会賞 受賞
(論文題:非閉塞性無精子症患者980人におけるAZF遺伝子欠失の頻度とTESEでの精子採取率および精巣病理組織像の検討)

【患者様へメッセージ】
「恥ずかしい」「相談しにくい」と感じがちな泌尿器のお悩みやEDについて、専門医が医学的根拠に基づいて丁寧に診療します。お一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。


参考文献

  1. 日本泌尿器科学会「LOH症候群 診療の手引き 2022年版」
    https://www.urol.or.jp/
  2. Endocrine Society Clinical Practice Guideline (2018)
    https://academic.oup.com/jcem/article/103/5/1715/4939465
  3. American Urological Association「Testosterone Deficiency Guideline」
    https://www.auanet.org/guidelines/guidelines/testosterone-deficiency

ご予約・お問い合わせ

お気軽にお電話ください。ネット予約もご利用いただけます。