テストステロン(男性)ホルモン補充療法の副作用について
監修
小林知広
日本専門医機構認定 泌尿器科専門医
Q1. テストステロン補充療法にはどんな副作用がありますか?
A. 主なものは「多血症(血が濃くなる)」「心血管リスクの増加の可能性」「睡眠時無呼吸の悪化」「前立腺関連のトラブル」「にきび・脂性肌・乳房痛」「不妊(精子減少)」などです。
Q2. 多血症(ヘマトクリット上昇)とは何ですか?
A. TRTにより赤血球が増え、ヘマトクリットが正常上限を超えて上昇する状態を多血症と呼びます。
血液が“ドロドロ”になり、脳梗塞や心筋梗塞、静脈血栓症などのリスクが理論的に高まるため、ヘマトクリットが52〜54%を超えた場合は減量・中止や瀉血などの対応が推奨されます。
Q3. 心臓や血管への影響は危険ですか?
A. TRTが心血管イベント(心筋梗塞・脳卒中など)を増やすかどうかは、研究によって結果が分かれており「はっきり危険とも安全とも言えない」というのが現状です。
既に心疾患がある方や高リスクの方では、ガイドラインは慎重投与と厳格なモニタリングを求めています。
Q4. 前立腺がんのリスクは上がりますか?
A. 近年のメタ解析では、適切にモニタリングされたTRTが前立腺がんの発症率を有意に上げるという明確な証拠はなく、「ほぼ否定的」という見解が主流です。
ただし、前立腺がん・高度前立腺肥大症がある場合は禁忌・慎重投与となるため、PSAと直腸診による定期チェックが必須です。
Q5. 睡眠時無呼吸症候群は悪化しますか?
A. TRTは閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を悪化させる可能性があるとされ、未治療の重症OSAは慎重投与または禁忌に位置付けられています。
治療前にいびき・日中の眠気などをチェックし、必要な場合は睡眠検査を行うことが推奨されています。
Q6. 不妊や精子への影響はありますか?
A. 外からテストステロンを補うと、視床下部–下垂体–精巣系が抑制され、LH・FSHが低下し、精子形成が落ちて「精子の数が減る/ゼロになる」ことがあります。
そのため、近い将来の妊娠を希望する男性では、TRTは原則避けるべき治療とされています。
Q7. 乳房が張る・乳首が痛くなることはありますか?
A. テストステロンの一部はアロマターゼによりエストロゲンに変換されるため、エストロゲン上昇により乳房痛や軽度の女性化乳房(胸のふくらみ)が起こることがあります。
高度な場合は用量調整やアロマターゼ阻害薬の併用などを検討することがあります。
Q8. 肌トラブルやむくみは出ますか?
A. 皮脂分泌の増加により、にきびや脂性肌が出ることがあります。
また、軽い浮腫(足のむくみなど)が出ることがあり、心不全や腎機能低下がある場合は注意が必要です。
Q9. 肝臓への影響はありますか?
A. 経口17αアルキル化テストステロンは肝障害リスクが高いため推奨されておらず、現在主流の注射・経皮製剤では重篤な肝障害はまれですが、ガイドラインは定期的な肝機能チェックを推奨しています。
Q10. 副作用を防ぐために、どんな検査が必要ですか?
A. 代表的なモニタリング項目は以下です。
- 採血:ヘマトクリット/血算、肝機能、脂質、テストステロン値
- PSAと前立腺診察
- 血圧・心血管リスクの評価
- 睡眠時無呼吸の症状チェック(場合により検査)
治療開始後3〜6か月ごと、その後は6〜12か月ごとにフォローすることが多いとされています。
Q11. 副作用が出たらテストステロンを一生やめないといけませんか?
A. 多くの副作用(多血症・軽度の乳房症状・にきびなど)は、用量調整や中止で改善することが多いと報告されています。
重篤な心血管イベントやがんが疑われる場合は中止を含めて慎重に評価しますが、「一度始めたら一生やめられない」という治療ではありません。
院長プロフィール
小林 知広(こばやし ともひろ)
天拝坂こばやしクリニック 院長

保有資格
- 日本専門医機構認定 泌尿器科専門医
- 日本メンズヘルス医学会認定 テストステロン治療認定医
経歴
| 年度 | 経歴 |
|---|---|
| 2009年 | 島根大学医学部 卒業 |
| 2009年 | 武田病院 初期研修 |
| 2011年 | JR大阪鉄道病院 泌尿器科 |
| 2015年 | 獨協医科大学越谷病院泌尿器科 助教 |
| 2017年 | 京都ルネス病院 泌尿器科・透析科 医長 |
| 2024年 | 天拝坂こばやしクリニック 院長 |
専門分野
- 一般泌尿器科: 膀胱炎、前立腺肥大症、過活動膀胱、尿路結石
- アンドロロジー(男性医学): ED、男性更年期障害(LOH症候群)、射精障害、男性不妊
- メンズヘルス: テストステロン補充療法、AGA治療
- 美容皮膚科: シミ・しわ・たるみ治療、医療レーザー
学会活動・受賞歴
受賞
2015年 第34回日本アンドロロジー学会学術大会 臨床部門学会賞 受賞
論文題:非閉塞性無精子症患者980人におけるAZF遺伝子欠失の頻度とTESEでの精子採取率および精巣病理組織像の検討
所属学会
- 日本泌尿器科学会
- 日本メンズヘルス医学会
- 日本アンドロロジー学会
- 日本抗加齢医学会
診療理念
「中から外から、健康と自信を。」
泌尿器科を軸に、男性も女性も、内側の健康から外側の自信まで——すべてをつなぐ診療を届けたいと考えています。
デリケートな悩みを、恥ずかしいと思わずに話せる場所であること。「また先生に診てもらいたい」と思っていただけるクリニックであること。
これが天拝坂こばやしクリニックの存在理由です。
患者様へのメッセージ
「恥ずかしい」「相談しにくい」と感じがちな泌尿器のお悩みやEDについて、専門医が医学的根拠に基づいて丁寧に診療します。
特に男性更年期障害(LOH症候群)やED治療については、テストステロン治療認定医として専門的な診療を行っています。
お一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
クリニック情報
天拝坂こばやしクリニック
〒818-0125 福岡県太宰府市大佐野2-24-1
診療科目:
- 泌尿器科
- 内科(男性・女性更年期障害)
- 美容皮膚科
Web予約(24時間受付):
https://patient.digikar-smart.jp/institutions/a356aa2e-6198-4d7f-9416-0731c1996e97/reserve
電話番号: 092-918-8338