尿管結石とは|夏に増える理由・激痛の症状・大きさ別の自然排石率を泌尿器科専門医が解説

小林知広

監修

小林知広

日本専門医機構認定 泌尿器科専門医

この記事の要約

尿管結石は夏に急増する。脱水による尿の濃縮が原因
激しい側腹部〜腰の痛みが突然起こる。吐き気・血尿を伴うことも
「小さい石ほど痛い」ことがある。大きさと痛みは比例しない
4mm以下は約80〜95%が自然に排石。8mm以上は治療が必要なことが多い
水分補給が最大の予防策

この記事を読むべき人

  • 突然、脇腹や腰に激しい痛みが起きた方
  • 尿管結石と診断されたが、治療方針に迷っている方
  • 再発を繰り返している方
  • 夏前に予防策を知りたい方
  • 結石の大きさと治療の関係を知りたい方

読了時間:約8分


監修医師

小林 知広(こばやし ともひろ) 天拝坂こばやしクリニック 院長

保有資格

  • 日本専門医機構認定 泌尿器科専門医
  • 日本メンズヘルス医学会認定 テストステロン治療認定医

尿管結石とは

尿管結石とは、腎臓でできた石(結石)が尿管に落ちてきて引っかかった状態です。

尿管は腎臓から膀胱へ尿を運ぶ管で、直径わずか数mmしかありません。ここに石が詰まると、激しい痛みを引き起こします。

結石はどこにできる?

結石はほとんどが腎臓でつくられます。

腎臓の中にあるうちは「腎結石」と呼ばれ、痛みがないことも多いです。

それが尿管に流れ込み詰まったときが「尿管結石」。このときに激しい症状が現れます。


夏に急増する理由

尿管結石は季節性がある疾患です。梅雨明けから夏にかけて、発症が増加する傾向があります。

理由①:発汗による脱水

夏は大量の汗をかきます。水分を十分に補給しないと、尿が濃縮されます。

尿が濃くなると、結石の材料となるカルシウム・シュウ酸・尿酸などの成分が結晶化しやすくなります。

理由②:紫外線とビタミンDの関係

夏の強い日差しを浴びると、体内でビタミンDの産生が増加します。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進するため、尿中のカルシウム濃度が上がり、結石形成につながる可能性があります。

ただし、日光暴露そのものが季節性上昇の主因と断定できるほどのエビデンスは現時点では限られており、あくまで一因と考えられているという位置づけです。

理由③:食生活の変化

夏は冷たい飲み物・アルコール・BBQなど、食生活が変わりやすい季節です。プリン体の多い食事や過度の飲酒は尿酸値を上げ、尿酸結石のリスクを高めます。

夏前から始める予防が重要

結石は数か月〜数年かけて形成されます。夏に症状が出ても、石ができ始めたのはその前かもしれません。今からの水分補給と生活習慣の改善が大切です。


尿管結石の症状

1. 突然の激しい側腹部痛・腰痛(疝痛発作)

尿管結石の最も特徴的な症状です。

どんな痛み?

  • 突然、脇腹から腰にかけて激しい痛みが起こる
  • 波のように強くなったり弱くなったりする(疝痛)
  • じっとしていても楽にならない
  • 冷や汗が出る、顔が青ざめるほどの激痛

「人生で経験した中で最も激しい痛み」と表現される方も少なくありません。


2. 血尿

尿が赤くなったり、ピンク色になることがあります。肉眼では分からなくても、尿検査で血液が検出される(顕微鏡的血尿)こともあります。


3. 吐き気・嘔吐

痛みが激しい場合、吐き気や嘔吐を伴うことがあります。「お腹の病気かと思った」という方もいます。


4. 頻尿・残尿感

結石が膀胱の近くまで降りてきたとき(下部尿管)に現れやすい症状です。膀胱炎と間違えられることがあります。


5. 無症状のこともある

小さな石が腎臓にあるうちは無症状のことが多く、健康診断の超音波検査で偶然見つかることもあります。


⚠️ こんな場合はすぐ受診

以下の症状がある場合は、早めに受診してください。

  • 高熱(38℃以上)を伴う
  • 尿が全く出ない
  • 痛みが数時間以上続く
  • 片方の腎臓しかない方

特に高熱+側腹部痛の組み合わせは、「結石性腎盂腎炎」の可能性があります。腎臓への感染が重篤化するリスクがあるため、緊急の対応が必要です。


「小さい石ほど痛い」は本当?

「えっ、こんな小さな石で…?」と驚かれる患者さんがいます。

実は、結石の大きさと痛みの強さは比例しません。

なぜ小さい石でも激しく痛むのか

①尿管に詰まりやすい

小さな石(特に3〜5mm)は、尿管の狭い部分(生理的狭窄部)に引っかかりやすい大きさです。動こうとするたびに粘膜を傷つけ、尿管が痙攣(蠕動亢進)を起こすため、激痛が生じます。

②尿管が完全に閉塞する

石が尿管にぴったり詰まると、尿の流れが止まります。腎臓内の圧力が急激に上がり、腎臓が膨らんで(水腎症)強い痛みを引き起こします。

③大きい石は動かないことがある

逆に大きな石は動けないため、痛みが出ないこともあります。

痛みが突然消えたときも注意

「痛みがなくなった=石が出た」とは限りません。痛みが引いても、石が尿管内に残ったままのことがあります。必ず受診して確認してください。


大きさ別の自然排石率

結石が自然に体外に出る(自然排石)確率は、石の大きさによって大きく変わります。

結石の大きさ自然排石率の目安目安の期間
〜4mm約80〜95%1〜4週間
5〜7mm約50〜60%数週間〜2ヶ月
8〜9mm約20〜30%治療を検討
10mm以上自然排石は難しい治療が必要

※日本泌尿器科学会ガイドライン・各種文献を参考にした目安です。個人差があります。

4mm以下

多くの場合、自然に排石が期待できます。痛み止めと水分補給で経過を見るのが基本方針です。

5〜7mm

自然排石の可能性はありますが、時間がかかることがあります。

8mm以上

自然排石が難しいため、治療を検討します。

10mm以上

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や内視鏡手術(TUL/f-TUL)などの治療が必要となることが多いです。


尿管結石の検査

尿検査

血尿・白血球の有無を確認します。結石の成分を調べることもできます。

超音波検査(エコー)

腎臓の腫れ(水腎症)の有無を確認します。放射線を使わないため、妊娠中でも行えます。

CT検査

最も確実に結石を見つけられる検査です。結石の位置・大きさを正確に把握できます。

X線検査

カルシウム系の結石は写りますが、尿酸結石などは写りにくいことがあります。


尿管結石の治療

保存的治療(自然排石を待つ)

4mm以下の結石が適応です。

  • 鎮痛薬(NSAIDs・ブスコパン等)で痛みをコントロール
  • αブロッカーで排石を促進
  • 1日2リットル以上の水分摂取
  • 定期的な経過観察

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)

体の外から衝撃波を当てて結石を細かく砕く治療法です。入院不要で行えることが多いです。

内視鏡手術(TUL / f-TUL)

尿道から細い内視鏡を入れ、レーザーで結石を砕いて取り出す手術です。10mm以上の結石や、ESWLで効果が出ない場合に行います。


尿管結石の予防

最重要:水分をたくさん飲む

1日2リットル以上の水分摂取を目標にしてください。

尿量が増えることで、結石の材料となる成分が濃縮しにくくなります。

特に大切な場面

  • 起床後すぐ
  • 運動前後
  • 入浴前後
  • 就寝前

食事の注意点

控えたいもの

  • シュウ酸を多く含む食品(ほうれん草・ナッツ・チョコレート・コーヒー)
  • プリン体の多い食品(レバー・魚卵・ビール)
  • 塩分の多い食事
  • 動物性タンパク質の過剰摂取

積極的に摂りたいもの

  • カルシウム(牛乳・乳製品・小魚)
  • クエン酸(柑橘類・梅干し)
  • 野菜・果物(ただしシュウ酸の多いものは注意)

カルシウムを減らすのは逆効果:「結石=カルシウム」と思って牛乳を控える方がいますが、食事中のカルシウムは腸内でシュウ酸と結合して排泄されるため、むしろ適度に摂取した方が結石予防になることが多いです。

肥満・生活習慣の改善

肥満・糖尿病・高血圧・痛風は尿管結石のリスクを高めます。生活習慣の改善が予防につながります。


よくある質問(FAQ)

Q1:結石が出たかどうか、どうやって確認できますか?

A:トイレの際にザルや紙でこして確認する方法があります。出たと思われる石をお持ちいただければ、成分分析ができる場合があります。また、症状が消えた後に超音波検査や尿検査で確認することもできます。


Q2:痛みが引いたら受診しなくても大丈夫ですか?

A:痛みが引いても石が残っている可能性があります。自然に排石されたか、まだ尿管にあるのかを確認するために、症状が落ち着いた後も受診することをおすすめします。


Q3:再発しやすいですか?

A:尿管結石は再発しやすい疾患です。5年以内に約50%が再発するとされています。再発予防のために、水分摂取・食事改善・定期的な検査が重要です。


Q4:女性でも結石になりますか?

A:はい。男性の方がやや多い(約2〜3倍)ですが、女性でも発症します。女性の場合、卵巣や子宮の疾患と症状が似ているため、鑑別診断が大切です。


Q5:水をたくさん飲めば石が溶けますか?

A:水分摂取は新しい結石の予防に有効ですが、すでにできた結石を溶かす効果は多くの場合ありません(一部の尿酸結石は溶かせることがあります)。


Q6:健康診断で「腎臓に石がある」と言われました。どうすればいいですか?

A:腎臓の中にある小さな石は、症状が出ないことがほとんどです。定期的な経過観察と、水分摂取などの予防を続けることが基本です。大きさによっては治療を検討する場合もあります。泌尿器科を受診して相談してください。


Q7:尿管結石と腰痛の違いは?

A:尿管結石の痛みは「じっとしていても楽にならない」「波のように強弱がある」「脇腹から腰にかけて」という特徴があります。血尿を伴うことも多いです。一方、整形外科的な腰痛は「安静にすると楽になる」傾向があります。迷った場合は受診してください。


まとめ

  • 尿管結石は夏に急増する。発汗による脱水が主な原因
  • 突然の激しい側腹部痛・腰痛・血尿が主な症状
  • 小さい石でも激しく痛むことがある。大きさと痛みは比例しない
  • 4mm以下は約80〜95%が自然排石。8mm以上は治療を検討
  • 高熱を伴う場合は緊急受診が必要
  • 1日2リットル以上の水分摂取が最大の予防策

太宰府市で尿管結石の診療なら

天拝坂こばやしクリニックでは、泌尿器科専門医が尿管結石の診断・治療を行っています。

当院でできること

  • 問診・診察
  • 尿検査(血尿・石の成分確認)
  • 超音波検査(水腎症・結石の確認)
  • 鎮痛薬・排石促進薬の処方
  • 大きな結石・手術が必要な場合は専門施設へご紹介

こんな方はすぐご相談ください

  • 突然の激しい腰痛・側腹部痛
  • 血尿が出た
  • 以前に結石と診断されたことがある
  • 健康診断で腎臓に石があると言われた

アクセス

  • 太宰府市から車で約10分
  • 筑紫野市から車で約5分
  • 大野城市から車で約15分
  • 春日市から車で約15分
  • 小郡市から車で約20分

駐車場完備

Web予約(24時間受付) https://patient.digikar-smart.jp/institutions/a356aa2e-6198-4d7f-9416-0731c1996e97/reserve

お電話 092-918-8338


監修者

天拝坂こばやしクリニック 院長 小林 知広(こばやし ともひろ)

保有資格

  • 日本専門医機構認定 泌尿器科専門医
  • 日本メンズヘルス医学会認定 テストステロン治療認定医

経歴

  • 2009年 島根大学医学部 卒業
  • 2011年 JR大阪鉄道病院 泌尿器科
  • 2015年 獨協医科大学越谷病院泌尿器科 助教
  • 2017年 京都ルネス病院 泌尿器科・透析科 医長
  • 2024年 天拝坂こばやしクリニック 院長

専門分野:泌尿器科、男性更年期障害、ED治療


参考文献

国内ガイドライン

  1. 日本泌尿器科学会・日本尿路結石症学会・日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会. 尿路結石症診療ガイドライン 第3版. 医学図書出版; 2023. https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00807/

国際ガイドライン

  1. Türk C, et al. EAU Guidelines on Urolithiasis. European Association of Urology; 2024–2025 update. https://uroweb.org/guidelines/urolithiasis
  2. NICE guideline NG118. Renal and ureteric stones: assessment and management. National Institute for Health and Care Excellence; 2019. https://www.nice.org.uk/guidance/ng118/chapter/recommendations
  3. Geraghty RM, et al. Urological Guidelines for Kidney Stones: Overview and Comprehensive Update. Eur Urol Focus. 2024. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10889283/

αブロッカー(MET)関連

  1. Campschroer T, et al. Alpha-blockers as medical expulsive therapy for ureteral stones: Cochrane Database Syst Rev.(メタ解析) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4104150/
  2. Pickard R, et al. Use of drugs to increase ureteric stone passage: the SUSPEND trial. Lancet. 2015.(tamsulosinの有効性に否定的な大規模RCT) https://www.medscape.com/viewarticle/898245

予防・食事・再発関連

  1. Borghi L, et al. Comparison of two diets for the prevention of recurrent stones in idiopathic hypercalciuria. N Engl J Med.(カルシウム制限 vs 通常Ca+低Na・低動物性蛋白の比較)
  2. 名古屋大学泌尿器科. 尿路結石—主な病気と治療方法. https://urology-nagoya-u.jp/treatment/disease/ksd.php

ご予約・お問い合わせ

お気軽にお電話ください。ネット予約もご利用いただけます。