健診で「尿潜血陽性」と言われたら|原因・次にすべきことを泌尿器科専門医が解説
監修
小林知広
日本専門医機構認定 泌尿器科専門医
この記事の要約
✅ 尿潜血陽性とは、尿に血液(赤血球)が混じっているサイン。肉眼では見えないことも多い
✅ 原因はさまざま。心配のいらないものから、精密検査が必要なものまである
✅ 特に「痛みのない血尿」は、膀胱がん・腎臓がんのサインのことがあり要注意
✅ 次のステップは尿検査の再検・尿沈渣・超音波・膀胱鏡など。多くは痛みの少ない検査
✅ 「症状がないから大丈夫」と放置せず、一度泌尿器科を受診してほしい
この記事を読むべき人:
- 健診で尿潜血陽性・尿潜血(+)と言われた方
- 尿の色が赤い・茶色いと感じたことがある方
- 「再検査」「要精密検査」と書かれて不安な方
- 痛みはないのに血尿が出た方
- 何科に行けばいいか迷っている方
読了時間:約8分
監修医師
小林 知広(こばやし ともひろ) 天拝坂こばやしクリニック 院長
保有資格:
- 日本専門医機構認定 泌尿器科専門医
- 日本メンズヘルス医学会認定 テストステロン治療認定医
健診で「尿潜血陽性」と言われた方へ
「健診の結果で尿潜血が陽性だった」 「尿潜血(+)、要再検査と書いてある」
毎年、検診の時期になると、この結果を手に不安を抱えて受診される方が増えます。
まず知っていただきたいのは、尿潜血陽性=重い病気、ではないということです。
原因の多くは心配のいらないものです。しかし一方で、中には精密検査が必要な病気が隠れていることもあるため、放置は禁物です。
この記事では、尿潜血陽性を指摘された後に「何をすべきか」を、泌尿器科専門医の立場から解説します。
尿潜血とは
尿潜血とは、尿の中に血液(赤血球)が混じっている状態のことです。
「潜血」という字の通り、潜んでいる血——つまり、肉眼では見えないレベルの微量の血液も含みます。
2種類の血尿
① 肉眼的血尿 尿が目で見て赤い・赤褐色・コーラ色など。明らかに色の異常が分かるもの。
② 顕微鏡的血尿(尿潜血陽性) 尿の色は正常に見えるが、検査(尿試験紙・顕微鏡)で初めて血液が分かるもの。健診で「尿潜血陽性」と言われるのは主にこちらです。
尿潜血陽性の原因
尿潜血の原因は非常に幅広く、「どこから血が出ているか」で分類されます。
心配の少ない原因
- 激しい運動の後(一時的に潜血が出ることがある)
- 生理(月経)の混入(女性の場合)
- 一時的・原因不明の良性血尿
- 軽度の尿路感染
注意が必要な原因
- 尿路結石(腎臓・尿管・膀胱の石)
- 膀胱炎・腎盂腎炎(感染)
- 前立腺肥大症(男性)
- 腎炎などの腎臓の病気
見逃してはいけない原因
- 膀胱がん
- 腎臓がん(腎細胞がん)
- 腎盂・尿管がん
- 前立腺がん
「がん」と聞いて不安になるかもしれませんが、これらは早期に発見できれば治療の選択肢が広がる病気です。だからこそ、尿潜血をきっかけに調べることが大切なのです。
特に注意|「痛みのない血尿」
血尿の中でも、泌尿器科医が特に注意するのが**「痛みを伴わない血尿(無症候性血尿)」**です。
膀胱炎や尿路結石による血尿は、痛みや排尿時の違和感を伴うことが多いです。
一方で、膀胱がん・腎臓がんによる血尿は、痛みがないことが多いのです。
「痛くないから大丈夫」ではなく、「痛くないからこそ注意」——これは覚えておいていただきたいポイントです。
特に以下に当てはまる方は、早めの受診をおすすめします:
- 40歳以上
- 喫煙歴がある(膀胱がんの最大のリスク因子)
- 肉眼的血尿(目で見て赤い尿)が出た
- 過去にも尿潜血を指摘されている
次にすべきこと(検査の流れ)
ステップ①:尿検査の再検・尿沈渣
まず、本当に血尿があるのかを再確認します。
**尿沈渣(にょうちんさ)**という検査では、尿を遠心分離して、赤血球が実際にどのくらい含まれているか、赤血球の形はどうかを顕微鏡で確認します。
赤血球の形によって、「腎臓由来」か「尿路(膀胱など)由来」かの手がかりが得られます。
ステップ②:尿細胞診
尿の中にがん細胞が含まれていないかを調べる検査です。尿を採取するだけなので痛みはありません。
ステップ③:超音波検査(エコー)
腎臓・膀胱を超音波で観察します。結石・腫瘍・水腎症などが分かります。お腹の上から当てるだけで、痛みはありません。
ステップ④:膀胱鏡検査(必要に応じて)
膀胱の中を直接観察する検査です。膀胱がんの診断には最も確実な検査です。
「痛そう」というイメージがあるかもしれませんが、近年は細くて柔らかい軟性膀胱鏡が普及し、検査時の負担は大きく軽減されています。
ステップ⑤:CT検査(必要に応じて)
腎臓・尿管の評価が必要な場合、CTを行います。連携施設へご紹介することもあります。
男性と女性で考えるべきこと
男性の場合
- 前立腺肥大症・前立腺がんも視野に入れます
- PSA検査(血液検査)を併用することがあります
- 膀胱がんは男性に多い傾向があります
女性の場合
- 月経血の混入を除外します(生理の時期を避けて再検)
- 膀胱炎が比較的多くみられます
- それでも、がんの可能性を完全には除外せず評価します
尿潜血を「放置」するとどうなる?
尿潜血の多くは良性ですが、「念のため調べる」ことの価値は非常に大きいです。
もし背景に膀胱がん・腎臓がんが隠れていた場合、早期であれば治療の選択肢が広がります。一方、進行してから発見されると治療が難しくなります。
「症状がない」「痛くない」からといって放置せず、「要精密検査」の紙を受け取ったら先延ばしにしないでください。
よくある質問(FAQ)
Q1:尿潜血陽性でも、再検査したら陰性でした。もう大丈夫ですか?
A:一時的な潜血(運動後など)の可能性もありますが、「一度でも陽性が出た」場合は一度きちんと調べることをおすすめします。特に肉眼的血尿があった方・喫煙者・40歳以上の方は要注意です。
Q2:痛みも症状もありません。それでも受診すべきですか?
A:はい。むしろ「痛みのない血尿」は膀胱がん・腎臓がんのサインのことがあり、注意が必要です。症状がないからこそ調べる価値があります。
Q3:膀胱鏡は痛いですか?
A:以前は痛みを伴うことがありましたが、近年は細く柔らかい軟性膀胱鏡が普及し、負担は大きく軽減されています。検査前に十分ご説明します。
Q4:尿潜血と尿タンパクの両方が陽性でした。
A:両方が陽性の場合、腎臓の病気(腎炎など)が関わっている可能性があります。泌尿器科だけでなく腎臓内科的な評価も必要になることがあります。
Q5:何科を受診すればいいですか?
A:まずは泌尿器科がおすすめです。尿路(腎臓・尿管・膀胱・前立腺)の評価を一通り行うことができます。腎臓そのものの病気が疑われる場合は腎臓内科と連携します。
Q6:女性ですが、生理中に検査を受けても大丈夫ですか?
A:月経血が混入すると正確な評価ができないため、生理の時期を避けて再検することをおすすめします。受診時にお伝えください。
まとめ
- 尿潜血陽性は、尿に血液が混じっているサイン
- 原因は良性のものから、がんまで幅広い
- 特に「痛みのない血尿」は膀胱がん・腎臓がんに注意
- 次のステップは尿沈渣・尿細胞診・超音波・膀胱鏡など(多くは痛みが少ない)
- 喫煙者・40歳以上・肉眼的血尿があった方は特に早めの受診を
- 「症状がない」からと放置しないことが大切
尿潜血陽性は、体からの大切なサインです。多くは心配のいらないものですが、まれに重要な病気が隠れていることもあります。「念のため」の受診が、あなたの健康を守ります。
太宰府市で尿潜血・血尿の精密検査なら
天拝坂こばやしクリニックでは、泌尿器科専門医が尿潜血・血尿の原因を丁寧に調べます。
当院でできること:
- 尿検査・尿沈渣
- 尿細胞診(がん細胞の有無)
- 超音波検査(腎臓・膀胱)
- 膀胱鏡検査
- PSA検査(男性)
- CT検査が必要な場合は連携施設へご紹介
こんな方はご相談ください:
- 健診で尿潜血陽性と言われた
- 尿の色が赤い・茶色い
- 痛みはないが血尿が出た
- 過去にも尿潜血を指摘されている
- 喫煙歴があり血尿が心配
アクセス:
- 太宰府市から車で約10分
- 筑紫野市から車で約5分
- 大野城市から車で約15分
- 春日市から車で約15分
- 小郡市から車で約20分
駐車場完備
Web予約(24時間受付) https://patient.digikar-smart.jp/institutions/a356aa2e-6198-4d7f-9416-0731c1996e97/reserve
お電話 092-918-8338
📍 福岡県太宰府市大佐野2-24-1
監修者
天拝坂こばやしクリニック 院長 小林 知広(こばやし ともひろ)
保有資格
- 日本専門医機構認定 泌尿器科専門医
- 日本メンズヘルス医学会認定 テストステロン治療認定医
経歴
- 1984年 広島県尾道市生まれ
- 2009年 島根大学医学部 卒業・医師免許取得
- 2009年〜 竹田病院 → JR大阪鉄道病院(初期研修・泌尿器科)
- 〜2017年 獨協医科大学越谷病院 泌尿器科 助教(アンドロロジー・男性不妊専門外来担当)
- 〜2024年 京都ルネス病院 泌尿器科 部長
- 2024年10月 天拝坂こばやしクリニック 開院
所属学会
- 日本泌尿器科学会
- 日本メンズヘルス医学会
- 日本アンドロロジー学会
- 日本性機能学会
学術賞
- 第34回日本アンドロロジー学会学術集会 臨床部門賞 受賞(2015年)
英語査読論文(PubMed収録)
- Kobayashi T, et al. A questionnaire survey on attitude toward sperm cryopreservation among hematologists in Japan. International Journal of Hematology. 2017;105(3):349-352.(ファーストオーサー/日本臨床腫瘍学会がん・生殖医療ガイドライン等に引用)PMID: 27844197
- Shin T, Kobayashi T, et al. Microdissection testicular sperm extraction in Japanese patients with persistent azoospermia after chemotherapy. International Journal of Clinical Oncology. 2016;21(6):1167-1171.(日本泌尿器科学会 男性不妊診療ガイドライン2024等に引用)PMID: 27306218
- Iwahata T, Shin T, Kobayashi T, et al. Testicular sperm extraction for patients with spinal cord injury-related anejaculation. International Journal of Urology. 2016;23(12):1024-1027. PMID: 27766729
日本語論文・総説
- 男性更年期(特集:ストレスで悪化する内科疾患). Modern Physician. 2016.
- 精子も卵と同じように老化する?. 泌尿器外科. 2016.
- 精子のアンチエイジングは可能か. 腎臓内科・泌尿器科. 2015.
- ゴナドトロピン・アンドロゲン(特集:内分泌機能検査Update). ホルモンと臨床. 2014.
参考文献
- 日本泌尿器科学会. 血尿診断ガイドライン 2023年版. https://www.urol.or.jp/
- 日本泌尿器科学会. 膀胱癌診療ガイドライン.
- American Urological Association (AUA). Diagnosis, Evaluation and Follow-up of Asymptomatic Microhematuria in Adults. 2020.
- 日本腎臓学会. 血尿診断ガイドライン(腎臓内科的観点).