精液検査のすすめ|ブライダルチェック・男性不妊の検査を泌尿器科専門医が解説

監修

小林知広

日本専門医機構認定 泌尿器科専門医

この記事の要約

不妊の原因は約半数が男性側にある。精液検査は最も基本的な男性不妊の検査

ブライダルチェックとしての精液検査は自費診療。結婚前・妊活前に気軽に受けられる

不妊治療の一環として行う精液検査は保険適用。条件を満たせば費用負担が軽くなる

精液検査は採精のみ。痛みも採血も不要で、最もハードルの低い男性不妊の検査

「女性だけが検査する」時代は終わり。男性も早めに検査を受けることが妊活の近道

この記事を読むべき人

  • 結婚前・妊活前に自分の状態を知りたい男性
  • パートナーと妊活を始めようとしている方
  • 不妊治療中で男性側の検査をまだ受けていない方
  • 精液検査が保険適用になるか知りたい方
  • 精液検査について詳しく知りたい方

読了時間:約7分


監修医師

小林 知広(こばやし ともひろ) 天拝坂こばやしクリニック 院長

保有資格

  • 日本専門医機構認定 泌尿器科専門医
  • 日本メンズヘルス医学会認定 テストステロン治療認定医

この分野の専門性: 院長は獨協医科大学越谷病院でアンドロロジー(男性医学)・男性不妊専門外来を担当。男性不妊・精子凍結に関する研究を国際誌にファーストオーサーとして発表し、日本臨床腫瘍学会のガイドラインにも引用されています。


はじめに|不妊の原因、男性にもあります

「なかなか妊娠しない」と感じたとき、女性側だけが検査を受けることが多いのが現状です。

しかし、不妊の原因が男性側にある割合は約半数(男性単独で約24%、男女両方に原因がある場合を含めると約48%)とされています。

つまり、女性だけが頑張って検査・治療をしても、男性側に原因があれば妊娠には至らないことがあります。

男性の不妊検査の中で、最も基本的かつ重要なものが精液検査です。採精のみで完了し、痛みも採血も不要。最もハードルの低い検査です。

この記事では、精液検査を「ブライダルチェック(自費)」と「不妊治療(保険適用)」の2つの切り口から解説します。


精液検査でわかること

精液検査では、以下の項目を調べます。

検査項目内容WHO基準値(2021年版)
精液量精液全体の量1.4mL以上
精子濃度精液1mLあたりの精子数1600万/mL以上
総精子数全体の精子数3900万以上
運動率動いている精子の割合42%以上
前進運動率前に進む精子の割合30%以上
正常形態率形が正常な精子の割合4%以上
生存率生きている精子の割合54%以上

これらの値から、精子の数・動き・形が妊娠に十分かどうかを評価します。


① ブライダルチェックとしての精液検査(自費診療)

こんな方におすすめ

  • 結婚前・婚約中の方
  • これから妊活を始めようとしている方
  • 不妊とは診断されていないが、自分の状態を知りたい方
  • パートナーへのプロポーズの気持ちとして、一緒に検査を受けたい方

自費診療になる理由

「不妊症」と診断される前の段階、つまり妊娠を目指して避妊なしで1年以上経過していない場合や、将来に備えた事前確認の場合は、保険適用外となり自費診療になります。

「検査をするほど深刻ではないが、早めに知っておきたい」という方には、ブライダルチェックとして自費で受けることができます。

自費精液検査の費用(当院)

当院での料金については、ホームページをご確認いただくか、受診時にご案内します。

なぜ結婚前・妊活前に受けるといいのか

精液検査はその日その日で結果が変わる検査でもあります。体調・禁欲期間・発熱歴などによって数値が変動します。

まず一度受けておくことで、自分のベースラインを知ることができます。異常が見つかれば早めに対処でき、正常であれば安心して妊活を進められます。

「問題があってから調べる」より、「問題がないことを確認してから始める」方が、妊活全体がスムーズに進みます。


② 不妊治療の一環としての精液検査(保険適用)

2022年4月から不妊治療が保険適用に

2022年4月から、不妊治療の保険適用が大幅に拡大されました。それに伴い、不妊症の診断・治療の一環として行う精液検査も保険適用になります。

保険適用の条件

以下の条件を満たす場合、精液検査が保険適用になります。

  • 婚姻関係にある夫婦(事実婚も含む)
  • 避妊せずに性行為を行っているにもかかわらず、1年以上妊娠しない(不妊症の診断)
  • 医師が不妊症の診断・治療として必要と判断した場合

保険適用になると、3割負担(または1割・2割)で検査を受けることができます。

保険適用での精液検査の流れ

  1. 夫婦でクリニックを受診(または男性のみで受診も可)
  2. 問診・不妊症の診断
  3. 精液検査の実施
  4. 結果説明・今後の治療方針のご相談

精液検査の受け方

採精の方法

精液検査は、採精容器に射精した精液を提出するだけです。

院内採精: クリニックに専用の採精室がある場合、院内で採精できます。

自宅採精: 自宅で採精し、指定の時間内(通常1時間以内)にクリニックに持参する方法です。当院では自宅採精にも対応しています。

検査前の注意点

  • 禁欲期間:2〜7日間の禁欲(射精しない期間)が推奨されています
  • 体調:発熱・強いストレス・飲酒直後などは避ける
  • 持参時の保温:自宅採精の場合、体温程度に保温して持参する

精液検査の結果が気になる場合

軽度の異常の場合

精子の数や動きが基準値を少し下回っていても、自然妊娠できる場合があります。また、生活習慣の改善(禁煙・禁酒・体重管理・睡眠)で改善することもあります。

中等度以上の異常の場合

精子の数が非常に少ない(乏精子症)、動きが悪い(精子無力症)、形が異常(奇形精子症)などの場合は、原因を調べ、治療を検討します。

  • ホルモン療法
  • 泌尿器科的な手術(精索静脈瘤の治療など)
  • 生殖補助医療(人工授精・体外受精・顕微授精)への移行

無精子症の場合

射精した精液の中に精子が全くない状態です。原因によっては、精巣から直接精子を採取するTESE(精巣内精子採取術)という手術で精子を得られる場合があります。

当院院長は、男性不妊・TESEに関する研究を国際誌に発表しており(Shin T, Kobayashi T, et al. PMID: 27306218)、専門的な相談に対応します。


よくある質問(FAQ)

Q1:精液検査は恥ずかしくないですか?

A��多くの方が受診前に同じことを感じています。当院では診察室は個別対応で、丁寧にご説明します。採精室も清潔に保たれており、安心して検査を受けていただけます。


Q2:一度の検査で正確な結果が出ますか?

A��精液の状態はその日の体調・禁欲期間・季節などで変動します。一度の検査で異常が出た場合でも、再検査して確認することをおすすめします(2〜4週間後が目安)。


Q3:パートナーと一緒に受診する必要がありますか?

A��ブライダルチェックとしての場合は男性お一人で受診いただけます。保険適用での不妊治療の場合は、原則として夫婦での受診(または同意書)が必要です。


Q4:精液検査で異常が出た場合、どうなりますか?

A��まず原因を調べ、生活習慣の改善・薬物療法・手術・生殖補助医療などの選択肢をご説明します。一つの検査結果だけで判断せず、複数回の検査と総合的な評価を行います。


Q5:結果はどのくらいで分かりますか?

A��当院では、精液検査の結果は当日または数日以内にお伝えします。詳細についてはお問い合わせください。


Q6:保険適用での精液検査には紹介状が必要ですか?

A��紹介状は必須ではありませんが、他の医療機関での検査結果などがあればご持参ください。初診の方も直接受診いただけます。


まとめ

  • 不妊の原因は約半数が男性側にある——まず精液検査を
  • ブライダルチェックとしての精液検査は自費診療。結婚前・妊活前に受けられる
  • 不妊症の診断がある場合は保険適用(3割負担等)で受けられる
  • 精液検査は採精のみ。痛みも採血も不要で最もハードルが低い
  • 異常が見つかれば早期に対処でき、正常なら安心して妊活を進められる
  • 「女性だけが検査する」時代は終わり。二人で一緒に取り組む妊活を

太宰府市で精液検査・男性不妊のご相談なら

天拝坂こばやしクリニックでは、アンドロロジー(男性医学)を専門とする泌尿器科専門医が、精液検査・男性不妊の診断・治療を行っています。

当院でできること

  • 精液検査(ブライダルチェック:自費)
  • 精液検査(不妊治療:保険適用)
  • 男性不妊の原因精査(ホルモン検査・超音波など)
  • 生活習慣・精子改善のアドバイス
  • 高度な治療が必要な場合は生殖医療専門施設へご紹介

こんな方はご相談ください

  • 結婚前・妊活前に自分の状態を知りたい
  • 妊活をしているがなかなか妊娠しない
  • 男性不妊と言われた・疑っている
  • 精液検査の結果について相談したい

アクセス

  • 太宰府市から車で約10分
  • 筑紫野市から車で約5分
  • 大野城市から車で約15分
  • 春日市から車で約15分
  • 小郡市から車で約20分

駐車場完備

Web予約(24時間受付) https://patient.digikar-smart.jp/institutions/a356aa2e-6198-4d7f-9416-0731c1996e97/reserve

お電話 092-918-8338

📍 福岡県太宰府市大佐野2-24-1


監修者

天拝坂こばやしクリニック 院長 小林 知広(こばやし ともひろ)

保有資格

  • 日本専門医機構認定 泌尿器科専門医
  • 日本メンズヘルス医学会認定 テストステロン治療認定医

経歴

  • 1984年 広島県尾道市生まれ
  • 2009年 島根大学医学部 卒業・医師免許取得
  • 2009年〜 竹田病院 → JR大阪鉄道病院(初期研修・泌尿器科)
  • 〜2017年 獨協医科大学越谷病院 泌尿器科 助教(アンドロロジー・男性不妊専門外来担当)
  • 〜2024年 京都ルネス病院 泌尿器科 部長
  • 2024年10月 天拝坂こばやしクリニック 開院

所属学会

  • 日本泌尿器科学会
  • 日本メンズヘルス医学会
  • 日本アンドロロジー学会
  • 日本性機能学会

学術賞

  • 第34回日本アンドロロジー学会学術集会 臨床部門賞 受賞(2015年)

英語査読論文(PubMed収録)

  1. Kobayashi T, et al. A questionnaire survey on attitude toward sperm cryopreservation among hematologists in Japan. International Journal of Hematology. 2017;105(3):349-352.(ファーストオーサー/日本臨床腫瘍学会がん・生殖医療ガイドライン等に引用)PMID: 27844197
  2. Shin T, Kobayashi T, et al. Microdissection testicular sperm extraction in Japanese patients with persistent azoospermia after chemotherapy. International Journal of Clinical Oncology. 2016;21(6):1167-1171.(日本泌尿器科学会 男性不妊診療ガイドライン2024等に引用)PMID: 27306218
  3. Iwahata T, Shin T, Kobayashi T, et al. Testicular sperm extraction for patients with spinal cord injury-related anejaculation. International Journal of Urology. 2016;23(12):1024-1027. PMID: 27766729

日本語論文・総説

  • 男性更年期(特集:ストレスで悪化する内科疾患). Modern Physician. 2016.
  • 精子も卵と同じように老化する?. 泌尿器外科. 2016.
  • 精子のアンチエイジングは可能か. 腎臓内科・泌尿器科. 2015.
  • ゴナドトロピン・アンドロゲン(特集:内分泌機能検査Update). ホルモンと臨床. 2014.

参考文献

  1. 日本生殖医学会. 男性不妊症診療ガイドライン. https://www.jsrm.or.jp/
  2. 日本泌尿器科学会. 男性不妊診療ガイドライン2024. https://www.urol.or.jp/
  3. WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen, 6th edition. 2021. https://www.who.int/publications/i/item/9789240030787
  4. 厚生労働省. 不妊治療の保険適用について(2022年4月改定). https://www.mhlw.go.jp/
  5. Kobayashi T, et al. A questionnaire survey on attitude toward sperm cryopreservation among hematologists in Japan. Int J Hematol. 2017;105(3):349-352. PMID: 27844197

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