前立腺肥大症について
監修
小林知広
日本専門医機構認定 泌尿器科専門医
前立腺肥大症とは?
中高年の男性に多く見られる泌尿器科疾患で、前立腺が大きくなることで尿の通り道(膀胱→尿道)を圧迫し、排尿・蓄尿に関わる症状(下部尿路症状:LUTS)を引き起こします。
代表的な症状は「尿の勢いが弱い」「途中で途切れる」「夜間に何度もトイレに行く」「残尿感がある」など。
進行すると尿がまったく出ない「尿閉」や、膀胱結石・腎機能低下を合併することもあります。
なぜ起こるのか(原因とメカニズム)
- 加齢:年齢とともに前立腺の腺組織が増殖しやすくなります。
- ホルモン変化:テストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)に変換されることで、前立腺がさらに肥大しやすくなります。
- 慢性炎症・免疫反応:最近の研究では、慢性炎症や組織の繊維化、平滑筋の過剰な収縮が関係しているとされています。
- 機械的・機能的閉塞:肥大した前立腺による圧迫(物理的要因)と、筋肉の過緊張(機能的要因)が複合的に影響します。
主な症状(チェックポイント)
- 尿の勢いが弱くなった
- 排尿開始まで時間がかかる
- 排尿途中で途切れる、終わりが悪い
- 夜間に複数回トイレに行く(夜間頻尿)
- 残尿感や尿漏れ(尿滴下)がある
- 尿閉、血尿、尿路感染、結石などを合併することも
40歳を過ぎた頃から、これらの症状があれば早めの受診をおすすめします。
診断の流れ
- 問診と症状評価(下部尿路症状の確認)
- 尿検査・血液検査(前立腺特異抗原:PSAなど)
- 尿流測定・残尿測定・前立腺体積の超音波評価
- 前立腺がん・膀胱疾患・神経因性膀胱との鑑別
- 症状の重症度・QOLへの影響・合併症の有無をもとに治療方針を決定
治療の選択肢
生活習慣の見直し
- 水分・アルコール・カフェイン摂取の調整
- 就寝前の飲水制限で夜間頻尿を軽減
- 排尿日誌をつけてリズムを把握
薬物療法
- α1遮断薬(タムスロシン、ナフトピジル、シロドシン)
→ 前立腺・膀胱頸部の筋肉をゆるめて尿の通りを改善。 - 5αリダクターゼ阻害薬(フィナステリド、デュタステリド)
→ 前立腺体積を縮小し、進行を抑制。 - PDE5阻害薬(タダラフィル)
→ 勃起機能改善薬として知られますが、排尿症状にも有効。 - 併用療法:過活動膀胱症状が強い場合、抗コリン薬やβ3作動薬との併用も行います。
外科的・低侵襲治療
- 経尿道的前立腺切除術(TURP)
- レーザー蒸散術、前立腺動脈塞栓術なども近年選択肢に加わっています。
治療を始めるタイミングと注意点
- 症状が軽くても前立腺体積が大きい・尿流が極端に弱い場合は早期介入が必要。
- 尿閉、腎機能障害、結石、感染のリスクがある場合は専門医の治療が必須です。
- 5αリダクターゼ阻害薬では性機能低下や精液量減少などの副作用が起こることがあります。
- 治療後も定期的なPSA検査や症状チェックが重要です。
天拝坂こばやしクリニックの対応
天拝坂こばやしクリニックでは、
泌尿器科専門医・小林知広が、診断から治療・経過観察まで一貫して担当します。
薬物選択の際は、患者様の生活リズム・性機能・将来の希望を丁寧に伺い、最適な治療プランをご提案します。
「夜間トイレが増えた」「尿の勢いが弱い」などの症状がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
早期発見・早期治療が、生活の質(QOL)を守る鍵です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 年を取れば誰でもなる?
→ 年齢とともにリスクは上がりますが、全員が発症するわけではありません。定期検査が早期発見につながります。
Q2. 前立腺がんと違うの?
→ 前立腺肥大症は「良性」の増殖です。ただし、がんとの鑑別や併発の確認のため、PSA検査が推奨されます。
Q3. 薬はずっと飲まなければならない?
→ 多くの場合は長期服用が基本ですが、症状や体積によって減薬・中止も検討します。
Q4. 手術が必要なケースは?
→ 尿閉・腎障害・再発性感染などがある場合は手術を検討します。それ以外は薬物治療が中心です。
まとめ
前立腺肥大症は「加齢による自然な変化」ではありますが、放置すると排尿障害だけでなく腎機能にも影響を及ぼす可能性があります。
最近「夜中に何度も起きる」「尿の勢いが弱い」と感じたら、それは体からのサインかもしれません。
天拝坂こばやしクリニックでは、専門医が丁寧に診察し、一人ひとりに合わせた治療を行います。
お気軽にご相談ください。