人類はみな包茎?仮性・真性・嵌頓(カントン)の違いと手術の必要性

監修

小林知広

日本専門医機構認定 泌尿器科専門医

「包茎」には治療が必要なものと、そのままで良いものがあります。実は哺乳類としては皮を被っているのが正常です。真性包茎・嵌頓包茎のリスクや、仮性包茎の考え方について、泌尿器科専門医である天拝坂こばやしクリニックの院長が解説します。

皆さん、こんにちは。 天拝坂こばやしクリニック、院長の小林です。

今回のテーマは、男性にとって永遠の悩みとも言える「包茎(ほうけい)」についてです。

ネット上では「包茎は恥ずかしい」「手術しないとモテない」といった情報が溢れていますが、泌尿器科医の視点から言わせていただくと、少し誤解されている部分が多いように感じます。

今回は、包茎の正しい医学的な分類と、本当に治療が必要なケースについて、男性として泌尿器科医師として本音でお話しします。

そもそも「人類はみな包茎」である?

表題の通り、結論から言います。 「皮が被っている状態」は、生物として決して異常ではありません。

そもそも、人間以外の哺乳類を見てみてください。あの馬だって、普段は大事な部分を皮(包皮)で守っていますよね。もっと言えば、哺乳類はみな包茎です。 生物学的に見れば、デリケートな亀頭を皮で保護しているのは「普通の状態」なのです。

日本と欧米の「包茎」の定義の違い

実は、日本と欧米では「包茎」という言葉の使い方が少し違います。

  • 欧米の考え方: 「皮がまったく剥けない状態(真性包茎)」だけを指して「Phimosis(包茎)」と呼び、治療対象とします。
  • 日本の考え方: 皮が剥ける状態でも、被っていれば「仮性包茎」と名前をつけて分類します。

つまり、日本で言う「仮性包茎」は、欧米では「Normal(正常)」の範囲内とされることが多いのです。 もともと皮が剥けている状態(いわゆるズルムケ)の人は、欧米の報告でも数%程度です。

あなたはどのタイプ?3つの包茎分類

医学的には、以下の3つに分類されます。ご自身がどれに当てはまるかチェックしてみてください。

1. 仮性包茎(かせいほうけい)

  • 状態: 通常時は皮を被っているが、手で剥けばスムーズに亀頭が出る。勃起時も剥ける。
  • 治療の必要性: 原則として医学的な治療の必要はありません。
  • 解説: 日本人男性の多くがこれに該当します。機能的に問題はなく、病気ではありません。「銭湯で隠れて剥く」という涙ぐましい努力をしている方も多いですが、恥じることはありません。だって、それが普通なのですから。

2. 真性包茎(しんせいほうけい)

  • 状態: 皮の口が狭く、勃起しても手を使っても全く亀頭が出せない。
  • 治療の必要性: 治療対象です。
  • リスク: 皮の中に恥垢(ちこう)という垢が溜まり、強いニオイの原因になります。また、不衛生な状態が続くと炎症を繰り返したり、将来的に陰茎がんのリスク因子になることも指摘されています。

3. 嵌頓包茎(かんとんほうけい)

  • 状態: 無理やり皮を剥いたら、元に戻らなくなってしまった状態。
  • 治療の必要性: 緊急性が高い治療対象です。
  • 解説: 狭い皮が亀頭の首(冠状溝)を締め付けてしまい、うっ血して腫れ上がります。放置すると組織が壊死する危険があるため、すぐに泌尿器科を受診してください。(ちなみに中国の「広東」とは関係ありません!)

「女性に嫌われる」の正体は?

よく「包茎は女性に嫌われる」と言われますが、その本質は**「見た目」よりも「ニオイ・不潔さ」**にあることが多いです。

  • 真性包茎の方: 洗いたくても洗えないため、どうしてもニオイが発生しやすく、パートナーのためにも治療をお勧めします。
  • 仮性包茎の方: お風呂で毎日ちゃんと剥いて洗っていれば、ニオイの問題は防げます。

治療するかどうかの判断基準

医学的に手術が必要な人

「真性包茎」と「カントン包茎」の方は、機能的・衛生的な問題があるため、健康保険が適用される手術の対象となることがあります。迷わずご相談ください。

医学的には必要ないけれど、手術をしたい人

「仮性包茎だけど、見た目を良くしたい」 「銭湯や温泉で堂々と威張りたい」

これは「美容」の領域になります。 病気ではないので手術は必須ではありませんが、コンプレックスを解消して自信を持ちたいという理由で手術を選択されることは、決して悪いことではありません。当院でもご相談に乗ります。

最後に:お風呂での「マナー」について

ちなみに、多くの日本人男性(仮性包茎の方)は、銭湯などでズボンを脱ぐ一瞬の隙に、神業のような手つきで皮を剥いています。 これは日本男性特有の「奥ゆかしさ」かもしれませんね(笑)。

数%の「生まれつきのズルムケ」の方を羨ましく思う気持ちもわかりますが、馬でも包茎なんですから、ヒトが包茎なのは当たり前です。

もし、「自分の包茎は手術が必要なのかな?」「カントンになりそうで怖い」といった不安があれば、一人で悩まずに専門家に見せてください。 天拝坂こばやしクリニックは、男性のデリケートな悩みに真摯に向き合います。


【関連リンク】 包茎手術や治療についての詳細は、以下の学会等の情報も参考にしてください。日本小児泌尿器科学会https://jspu.jp/ippan_011.html

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この記事の監修者

天拝坂こばやしクリニック 院長 小林 知広(こばやし ともひろ)

【保有資格】

  • 日本泌尿器科学会認定 泌尿器科専門医
  • メンズヘルス学会認定 テストステロン治療認定医

【経歴】

  • 2009年 島根大学医学部 卒業 / 武田病院 初期研修
  • 2011年 JR大阪鉄道病院 泌尿器科
  • 2015年 獨協医科大学越谷病院泌尿器科 助教
  • 2017年 京都ルネス病院泌尿器科・透析科 医長
  • 2024年 天拝坂こばやしクリニック 院長

【受賞歴】

  • 2015年 第34回アンドロロジー学会学術大会 臨床部門学会賞 受賞 (論文題:非閉塞性無精子症患者980人におけるAZF遺伝子欠失の頻度とTESEでの精子採取率および精巣病理組織像の検討)

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