オナ禁は効果ある?テストステロンと亜鉛から見る「最適な射精頻度」泌尿器科専門医のブログ

監修

小林知広

日本専門医機構認定 泌尿器科専門医

「オナ禁でテストステロンは上がる?」「髪や肌にいい?」「もてる?」そんな疑問に泌尿器科専門医が医学的エビデンスに基づき回答します。亜鉛の喪失やホルモン数値を医学的に検証し、健康にとって最適な射精頻度の提案もあり?


こんにちは。 天拝坂こばやしクリニック 院長の小林です。

今日は、男性なら一度はネットで検索したことがあるかもしれないテーマ。 **「オナ禁(オナニー禁止)」**について、泌尿器科専門医の視点から真面目に解説します。

「オナ禁をするとモテる」「仕事がうまくいきだす」なんて噂も聞きますが、医学的にはどうなのでしょうか?

今回は「自慰による射精を控えること」をオナ禁と定義して、そのメリットとデメリットを医学的エビデンス(根拠)に基づいて紐解いていきます。

一人で悩まず、正しい知識を身につけましょう。

1. 射精で「亜鉛・タンパク質」が減るのは本当

まず、栄養面から見ていきましょう。 「射精すると髪が抜ける」「肌が荒れる」という説がありますが、これはあながち間違いではありません。

精液には、精子を守るために多くの栄養素が含まれています。 特に重要なのが**「亜鉛」**です。

亜鉛は、男性ホルモン(テストステロン)を作るために必須なだけでなく、髪や肌の維持、細胞の生まれ変わりにも欠かせないミネラルです。

実は、精液中の亜鉛濃度は血液中の約100倍とも言われています。 試算すると、たった1回の射精で最大約1mgの亜鉛を体外へ出してしまう計算になります。

また、精液には大切なタンパク質も含まれています。

毎日頻繁に射精してこれらの栄養素を排出し続けると、体が「材料不足」になる可能性は否定できません。

つまり、これまで頻繁にオナニーをしていた人が回数を控えることで、亜鉛の浪費が抑えられ、髪や肌のコンディションが整うということは、医学的にも十分に考えられることです。

【内部リンク推奨:当院の男性更年期障害(LOH症候群)治療について】

2. オナ禁7日目に訪れる「テストステロンのピーク」

次に、多くの男性が気になる**「テストステロン(男性ホルモン)」**との関係です。 「我慢すればするほど男らしくなる」と思っていませんか?

実は、これには興味深い研究データがあります。

2003年の研究(Jiangら)によると、オナ禁を開始してから7日目に、血中のテストステロン値が急激に上昇(普段の約1.45倍)したという結果が出ています。

しかし、ここからが重要です。 この数値は8日目には元のレベルに戻ってしまいました。

さらに、以下の2つのグループを比較したデータもあります。

  • グループA: 7日目に射精し、リセットして再度7日間禁欲した
  • グループB: 7日目以降も射精せず、ずっと我慢を続けた

結果、適度に射精したグループAでは再びテストステロンの上昇サイクルが見られましたが、ずっと我慢したグループBでは、それ以上の上昇は認められませんでした。

つまり、**「ただ長期間我慢し続けても、テストステロンが右肩上がりに上がり続けるわけではない」**ということです。

3. 医師が提案する「ライトオナ禁」のススメ

栄養面とホルモン面のデータを総合すると、僕なりの結論はこうなります。

  • 栄養面: 頻繁すぎる射精は亜鉛不足を招く可能性がある。
  • ホルモン面: 7日周期でテストステロンがピークを迎えるため、それ以上の長期禁欲は効率が悪い。

そこで私が推奨したいのが、江戸時代の儒学者・貝原益軒先生の教え「接して漏らさず(興奮はすれども、むやみに射精せず)」を現代風にした**「ライトオナ禁」**です。

【ライトオナ禁のやり方】

  • 基本は週1-2回: 毎日ではなく、1週間に1-2度程度の射精頻度にコントロールする。
  • 勃起はOK: 興奮・勃起するだけでもテストステロンが上昇する可能性があります。日々の勃起力(朝立ちなど)は維持しつつ、射精という「排出」は週1-2回の楽しみに取っておく。

これが、精子の質やホルモンサイクルを考えても、最もコストパフォーマンスの良い方法ではないでしょうか。

4. どうしても我慢できない方へ

もちろん、「毎日しないと気が済まない!」という方もいらっしゃるでしょう。 安心してください。頻回な射精にもメリットはあります。
ここまで「オナ禁のメリット」をお話ししてきましたが、医学の世界には全く逆の視点からの興味深い報告もあります。

ハーバード大学などの研究によると、射精頻度が高い(月21回以上)男性は、そうでない男性に比べて前立腺癌のリスクが低下したという報告もあります。

また、**「性的活動(射精)の頻度が高い男性ほど、死亡リスクが低く健康的である」**というデータです。

■ 死亡リスクが50%低下した? イギリスで行われた有名な「ケルフィリー心臓病研究」という調査があります。 45歳から59歳の男性918人を10年間追跡調査したところ、**「週に2回以上」**オーガズム(射精)を得ているグループは、「月に1回未満」のグループに比べて、総死亡リスクがなんと50%も低かったのです。

特に冠動脈性心疾患(心臓病)のリスクに関しては、36%も減少していました。 これは、性的興奮や射精に至るプロセスが、ある種の有酸素運動のような効果をもたらし、血管の健康維持やストレス解消に役立っている可能性が示唆されています。

■ 風邪をひきにくくなる?(免疫力アップ) また、別の研究では、適度な性的活動が免疫系を強化することも報告されています。 週に1〜2回の頻度で性的活動を行っているグループは、そうでないグループに比べて、唾液中の**免疫グロブリンA(IgA)**という抗体濃度が有意に高かったのです。 IgAは、口や鼻から入ってくるウイルスや細菌と戦う最前線の防御システムです。

つまり、**「適度に射精することは、心臓を元気にし、免疫力を高める健康法になり得る」**ということです。

やはり何事もバランスが大切。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ですが、我慢しすぎるのもまた、体に毒なのかもしれませんね。

「絶対にこうすべき」という正解はありません。 ストレスを溜めすぎず、ご自身の体調やライフスタイルに合わせて、無理のない範囲で楽しんでください。

ただ最後に一つだけ。 射精を我慢する「だけ」で急にモテモテになる……というのは、デマです。
そんなことでモテモテになれるほど人生は甘くありません。
人間としての魅力が上がるよう努力してください。
手っ取り早くモテるようになるには筋トレがおすすめです。
筋肉ずきな方は一定数います。
もてたいなら努力しましょう。その努力は断じてオナ禁ではありません!


もし、「最近元気がなくなった」「性欲がわかない」「勃起力が落ちた」といったお悩みがある場合は、オナ禁だけで解決しようとせず、一度専門医にご相談ください。 テストステロン値の測定や適切なアドバイスが可能です。

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参考文献・医学的根拠

  • Jiang M, et al. A research on the relationship between ejaculation and serum testosterone level in men. J Zhejiang Univ Sci. 2003.
    • (禁欲7日目にテストステロン値がピークに達することを示した研究)
  • Rider JR, et al. Ejaculation Frequency and Risk of Prostate Cancer: Updated Results with an Additional Decade of Follow-up. Eur Urol. 2016.
    • (射精頻度と前立腺癌リスクの関係を示唆した大規模研究)
  • Zhao J, et al. Zinc levels in seminal plasma and their correlation with male infertility: A systematic review and meta-analysis. Sci Rep. 2016.
    • (精液中の亜鉛濃度と男性機能の関連についてのメタ解析)
  • Comar VA, et al. Effect of abstinence time on semen quality: a systematic review and meta-analysis. Syst Biol Reprod Med. 2017.
    • (禁欲期間と精子の質の関連についてのシステマティックレビュー)
  • 【射精頻度と死亡率(長生き)について】
  • Title: Sex and death: are they related? Findings from the Caerphilly Cohort Study
  • Citation: Smith GD, et al. BMJ. 1997.
  • 概要: 英国の男性約900人を10年間追跡。週2回以上のオーガズム(射精)がある群は、低頻度群に比べて死亡率が50%低下したという有名な研究。
  • 【性的頻度と免疫機能について】
  • Title: Sexual frequency and salivary immunoglobulin A (IgA)
  • Citation: Charnetski CJ, et al. Psychol Rep. 2004.
  • 概要: 週1-2回の性的活動を行うグループは、唾液中の免疫グロブリンA(IgA)レベルが最も高く、免疫機能が向上している可能性を示唆した研究。

この記事の監修者

天拝坂こばやしクリニック 院長 小林 知広(こばやし ともひろ)

【保有資格】

  • 日本泌尿器科学会認定 泌尿器科専門医
  • 日本メンズヘルス医学会認定 テストステロン治療認定医

【経歴】

  • 2009年:島根大学医学部 卒業 / 武田病院 初期研修
  • 2011年:JR大阪鉄道病院 泌尿器科
  • 2015年:獨協医科大学越谷病院泌尿器科 助教
  • 2017年:京都ルネス病院泌尿器科・透析科 医長
  • 2024年:天拝坂こばやしクリニック 院長 開院

【受賞歴】

  • 2015年:第34回日本アンドロロジー学会学術大会 臨床部門学会賞 受賞
    • 論文題:非閉塞性無精子症患者980人におけるAZF遺伝子欠失の頻度とTESEでの精子採取率および精巣病理組織像の検討

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