【医師解説】健診で尿潜血陽性と言われたら?顕微鏡的血尿の原因と受診の目安

小林知広

監修

小林知広

日本専門医機構認定 泌尿器科専門医

健康診断で尿潜血陽性(顕微鏡的血尿の可能性)を指摘された方へ。泌尿器科専門医が、がんのリスク・放置の注意点・受診すべきタイミングを医学的根拠に基づき解説します。


監修者プロフィール

【監修者】
天拝坂こばやしクリニック 院長
小林 知広(こばやし ともひろ)

【保有資格】
日本専門医機構認定 泌尿器科専門医
日本メンズヘルス医学会認定 テストステロン治療認定医

【経歴】
2009年 島根大学医学部 卒業 / 武田病院 初期研修
2011年 JR大阪鉄道病院 泌尿器科
2015年 獨協医科大学越谷病院泌尿器科 助教
2017年 京都ルネス病院 泌尿器科・透析科 医長
2024年 天拝坂こばやしクリニック 院長

【受賞歴】
2015年 第34回アンドロロジー学会学術大会 臨床部門学会賞 受賞
(論文題:非閉塞性無精子症患者980人におけるAZF遺伝子欠失の頻度とTESEでの精子採取率および精巣病理組織像の検討)

【患者様へメッセージ】
「恥ずかしい」「相談しにくい」と感じがちな泌尿器のお悩みやEDについて、
専門医が医学的根拠に基づいて丁寧に診療します。
お一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。

【Web予約(24時間受付・正規URL)】
https://patient.digikar-smart.jp/institutions/a356aa2e-6198-4d7f-9416-0731c1996e97/reserve


この記事の要約

  1. 健診の「尿潜血陽性」は、顕微鏡的血尿(おしっこを見て赤くはないけど顕微鏡で見ると血の成分があること)の可能性があります。まずは尿沈渣(顕微鏡で赤血球を確認する検査)で確認することが大事です。
  2. 顕微鏡的血尿で精査すると、報告によっては数%程度で膀胱がんなど尿路のがんが見つかることがあります。特に喫煙歴などのリスクがある場合は、放置しないことが重要です。
  3. 泌尿器科では、リスクに応じて尿検査・超音波・膀胱鏡・画像検査などを組み合わせて原因を評価します。

冒頭Q&A

Q1. 健康診断で「尿潜血陽性(±〜3+)」と書かれていました。これは何ですか?
A. 尿試験紙で血液成分の反応が出た状態です。赤血球が出ている(顕微鏡的血尿)の可能性がありますが、試験紙は「赤血球以外(ヘモグロビン尿・ミオグロビン尿)」でも陽性になることがあるため、尿沈渣での確認が大切です。見た目に赤くなくても血尿であることを言います。

Q2. 痛みも何も症状がないのですが、病院に行く必要はありますか?
A. 症状がなくても、尿路結石・炎症・腎疾患、まれに尿路の悪性腫瘍が隠れていることがあります。特に年齢や喫煙歴などのリスクがある場合は、泌尿器科での評価が勧められます。

Q3. 女性の場合、生理の影響で尿潜血が出ることはありますか?
A. はい、生理中や前後では尿に血液が混入し、尿潜血が陽性になることがあります。生理と無関係なタイミングで繰り返す場合は、膀胱炎なども含めて一度受診をご検討ください。


1. 顕微鏡的血尿(尿潜血陽性)とは?

健康診断で「尿潜血±」「尿潜血1+」「尿潜血2+」などと記載されていた場合、顕微鏡的血尿の可能性があります。
顕微鏡的血尿とは簡単に言えばおしっこは赤くないけど血の成分が混じっていると言う状態です。

定義(日本と海外で少し違います)

  • **血尿診断ガイドライン2023(発行:2023年)**では、顕微鏡的血尿を「尿沈渣で400倍拡大の1視野あたり赤血球5個(5個/HPF)以上」と定義しています。
  • 一方、アメリカのAUA/SUFUの微小血尿ガイドライン(2020年)では「適切に採取した尿の顕微鏡検査で、1視野あたり赤血球3個超(>3 RBC/HPF)」を微小血尿と定義し、試験紙陽性だけで微小血尿と定義しないことが明記されています。

健康診断は試験紙法が中心のため、まずは顕微鏡を用いて行う尿沈渣検査で本当に赤血球が出ているかを確認することが重要です。

肉眼的血尿との違い

  • 顕微鏡的血尿:尿の色は通常どおり(赤くない)だが、顕微鏡で赤血球が確認される
  • 肉眼的血尿(可視性血尿):尿が赤色・ピンク色・茶褐色に見える

肉眼的血尿は、顕微鏡的血尿よりも尿路の悪性腫瘍が見つかる割合が高いことが報告されており、早めの受診が重要です。


2. 顕微鏡的血尿の原因

顕微鏡的血尿の原因は多岐にわたり、重大な疾患から一時的な変化まで幅広く考えられます。

泌尿器科的疾患(膀胱・腎臓・尿路)

  1. 膀胱がん
    顕微鏡的血尿で精査された患者さんを対象にした研究では、膀胱がんが一定の割合で見つかることが報告されています(発見率は研究・対象集団で幅があります)。
  2. 腎がん・腎盂がん・尿管がん
    これらの悪性腫瘍でも血尿が初発症状となることがあります。
  3. 尿路結石
    結石が尿管や膀胱を刺激して出血することがあります。痛みがはっきりしない場合もあります。
  4. 膀胱炎・腎盂腎炎
    細菌感染による炎症で血尿が出ることがあります(特に女性に多い傾向があります)。
  5. 前立腺肥大症(男性)
    前立腺が大きくなることで尿路が刺激され、血尿の原因になることがあります。

腎臓内科的疾患

  • IgA腎症糸球体腎炎など
    血尿に加えて蛋白尿がある場合、腎臓由来の病気を疑うことがあります。

良性・一時的な原因

  • 激しい運動後(運動性血尿)
  • 生理(月経)の影響
  • 発熱・脱水 など

3. 放置してはいけない理由:がんの早期発見

顕微鏡的血尿の多くは良性の原因で説明できますが、「症状がない=病気がない」とは限りません。

  • 研究によっては、顕微鏡的血尿で精査した結果、膀胱がんが約3%程度と推定されたメタ解析があります。
  • 別の大規模システマティックレビューの論文では、非可視性血尿で精査した集団において、膀胱がんが約3.3%と報告されています。
  • また、AUAのガイドライン改訂に関する公表情報では、がんが見つかる確率はリスク因子によって「ほぼゼロ」から「6%超」まで幅があることが述べられています。

つまり、“誰でも同じ検査”ではなく、リスクに応じて適切に評価することがポイントです。


4. 受診が特に推奨されるケース

以下に当てはまる方は、泌尿器科での評価を強く推奨します。

  • 50歳以上
  • 喫煙歴がある(現在・過去を含む)
  • 肉眼的血尿が一度でもあった
  • 尿潜血が繰り返し陽性(複数回の健診で指摘)
  • 尿の違和感(頻尿・排尿痛)や腰背部痛がある
  • 泌尿器系のがんの家族歴、職業性曝露などがある

5. 泌尿器科での検査内容(一般的な流れ)

検査内容は、症状・年齢・喫煙歴・血尿の程度などで変わりますが、一般に以下を組み合わせて評価します。

基本検査

  1. 尿検査(尿沈渣):赤血球の数や形などを確認
  2. 腹部超音波検査(エコー):腎臓・膀胱・前立腺などを観察(痛みの少ない検査)
  3. 採血:腎機能などを確認(必要に応じて)

必要に応じて追加

  • 膀胱鏡検査:膀胱の中を直接観察(膀胱がんの評価で重要)
  • 画像検査(CTなど):上部尿路(腎臓〜尿管)の評価 ※検査法はリスクや状況で選択します
  • 尿細胞診:状況により検討(全員に必須ではありません)

※どの検査にも限界があり、また侵襲(違和感・少量の出血・感染など)の可能性がゼロではありません。必要性を説明した上で、適切に選択します。


6. 受診のタイミング

できるだけ早めの受診が望ましいケース

  • 肉眼的血尿がある
  • 排尿時痛・頻尿・腰背部痛など症状を伴う
  • 50歳以上で喫煙歴などのリスクがある

1〜2ヶ月以内を目安に相談したいケース

  • 健診で尿潜血陽性(±〜3+)を指摘された
  • 過去の健診でも繰り返し陽性

7. 天拝坂こばやしクリニックでのご相談

当院は、太宰府市・筑紫野市・大野城市・春日市・小郡市をはじめ、糟屋郡・鳥栖市・うきは市など近隣地域からも、お車でのご来院をご検討いただけます(駐車場あり)。

健診結果(紙 or アプリの画面)をお持ちいただくと、経過やリスク因子の整理がスムーズです。


よくある質問(FAQ)

Q1. 健診で尿潜血陽性でしたが、再検査では陰性でした。これで安心ですか?

A. 一度陰性になっても、原因が完全に否定できるとは限りません。リスク因子(年齢・喫煙歴など)がある場合や、繰り返し陽性になる場合は、泌尿器科で相談することをおすすめします。

Q2. 尿潜血と一緒にタンパク尿も陽性です。どうすればいいですか?

A. 血尿+タンパク尿は腎臓由来(糸球体疾患など)を疑う所見になることがあります。泌尿器科・腎臓内科のどちらでも構いませんので、早めに受診をご検討ください。

Q3. 膀胱鏡検査は痛いですか?

A. 検査の感じ方には個人差がありますが、麻酔ゼリーを使用し、細い内視鏡で行うのが一般的です。検査時間は短時間で終わることが多く、不安が強い場合は事前にご相談ください。

Q4. 精密検査で異常なしと言われました。今後はどうすればいいですか?

A. 現時点で異常がなければ安心材料ですが、尿潜血が続く場合は経過観察が必要になることがあります。健診の尿検査を継続し、症状が出た場合は再相談をご検討ください。

Q5. 健診の尿潜血陽性で受診したら、どのくらい費用がかかりますか?

A. 保険診療(3割負担)の場合、初診と基本的な検査で数千円程度になることが多いです。ただし、検査内容(膀胱鏡やCTの有無など)で変動します。事前に説明しますのでご安心ください。


まとめ

健診で「尿潜血陽性」を指摘された場合、多くは良性の原因ですが、症状がなくても一定の割合で重要な病気が見つかる可能性があります。
特に年齢や喫煙歴などのリスクがある場合は、放置せずに泌尿器科で評価することが大切です。

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監修者プロフィール

【監修者】
天拝坂こばやしクリニック 院長
小林 知広(こばやし ともひろ)

【保有資格】
日本専門医機構認定 泌尿器科専門医
日本メンズヘルス医学会認定 テストステロン治療認定医

【経歴】
2009年 島根大学医学部 卒業 / 武田病院 初期研修
2011年 JR大阪鉄道病院 泌尿器科
2015年 獨協医科大学越谷病院泌尿器科 助教
2017年 京都ルネス病院 泌尿器科・透析科 医長
2024年 天拝坂こばやしクリニック 院長

【受賞歴】
2015年 第34回アンドロロジー学会学術大会 臨床部門学会賞 受賞
(論文題:非閉塞性無精子症患者980人におけるAZF遺伝子欠失の頻度とTESEでの精子採取率および精巣病理組織像の検討)

【患者様へメッセージ】
「恥ずかしい」「相談しにくい」と感じがちな泌尿器のお悩みやEDについて、
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https://patient.digikar-smart.jp/institutions/a356aa2e-6198-4d7f-9416-0731c1996e97/reserve


参考文献(URL付き)

  1. 血尿診断ガイドライン2023(Mindsガイドラインライブラリ:発行年月日 2023年6月30日)
    https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00799/
  2. 血尿診断ガイドライン2023 概要(顕微鏡的血尿 5個/HPF など定義を含む)
    https://congress.jamt.or.jp/j73/pdf/special/9069.pdf
  3. Microhematuria: AUA/SUFU Guideline(2020年,PDF)
    https://www.auanet.org/documents/Guidelines/Archive/Microhematuria%20Guideline-1.pdf
  4. AUA Microhematuria Guideline Amendment(2025年改訂の公表情報)
    https://www.globenewswire.com/news-release/2025/09/23/3019595/0/en/American-Urological-Association-Releases-Microhematuria-Guideline-Amendment.html
  5. Waisbrod S, et al. Assessment of Diagnostic Yield of Cystoscopy and CT Urography for Urinary Tract Cancers in Patients Evaluated for Microhematuria: Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Network Open. 2021.
    https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2779752
  6. Rai BP, et al. Systematic Review of the Incidence of and Risk Factors for Urothelial Cancers and Renal Cell Carcinoma Among Patients with Haematuria. European Urology. 2022.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35393159/

記事作成日:2026年1月15日
最終更新日:2026年1月15日

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の症状や検査・治療方針を保証するものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関で医師の診察を受けてください。

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