「おちんちんがかゆい・腫れている・痛い」それは亀頭包皮炎かもしれません
監修
小林知広
日本専門医機構認定 泌尿器科専門医
この記事の要約
亀頭や包皮のかゆみ、赤み、腫れ、白いカスは「亀頭包皮炎」の可能性があります。夏は汗や蒸れ、摩擦が重なりやすく、カンジダや一般細菌、洗いすぎによる皮膚炎など、原因に応じた診断と治療が必要です。
「おちんちんがかゆい」
人には相談しにくい症状ですが、泌尿器科では珍しい相談ではありません。
亀頭が赤い、包皮が腫れている、白いカスが付く、皮がむける、ヒリヒリする。このような症状は「亀頭包皮炎」の可能性があります。
亀頭包皮炎はひとつの病気の名前というより、亀頭や包皮に炎症が起きている状態の総称です。原因はカンジダなどの真菌、一般細菌、汗や摩擦、洗いすぎによる皮膚炎などさまざまです。見た目だけでは原因を区別できないことも少なくありません。
この記事の要点
- 夏は汗・蒸れ・摩擦が重なり、亀頭や包皮の炎症が悪化しやすい時期です
- 亀頭包皮炎には、カンジダ、一般細菌、かぶれ・湿疹など複数の原因があります
- カンジダが検出されても、それだけで炎症の原因とは限りません
- 石けんやボディソープで何度も洗うと、かえって悪化することがあります
- 繰り返す場合は、糖尿病や服用中の薬が関係していないか確認が必要です
亀頭包皮炎とは
亀頭の炎症を「亀頭炎」、包皮の炎症を「包皮炎」といい、両方に炎症がある状態を「亀頭包皮炎」と呼びます。
主な症状は次のとおりです。
- 亀頭や包皮がかゆい
- 赤み、腫れ、ヒリヒリ感がある
- 白いカスや分泌物が付く
- 小さな赤いブツブツがある
- 皮がむける、ただれる、傷ができる
- 包皮をむくと痛い
- においが強くなる
症状だけで「カンジダ」「細菌感染」と決めつけることはできません。湿疹、接触皮膚炎、乾癬、硬化性苔癬などの皮膚疾患や、ヘルペス・梅毒などの性感染症が似た症状を起こすこともあります。
夏はなぜ悪化しやすいのか
夏に亀頭包皮炎が必ず増えると断定できる十分な季節疫学データは、現時点では限られています。
ただし、夏は次のような条件が重なります。
- 汗をかき、亀頭と包皮の間に湿気がこもる
- 下着の中が高温多湿になる
- 汗や皮脂、尿、恥垢が残りやすい
- 蒸れた皮膚が下着とこすれる
- 気になって何度も洗い、皮膚のバリア機能を傷つける
亀頭と包皮の間は、もともと皮膚同士が接する場所です。蒸れと摩擦で軽い炎症が起きたところに、カンジダや細菌が増殖して症状が強くなることがあります。
つまり「汚れているから起こる」だけではありません。むしろ、清潔にしようとして石けんや消毒液で洗いすぎ、悪化させている方もいます。
原因1:カンジダ性亀頭包皮炎
カンジダは真菌、いわゆるカビの仲間です。皮膚や消化管などに存在することがあり、必ずしも性感染症としてうつったとは限りません。
カンジダ性亀頭包皮炎では、次のような症状がみられます。
- 強いかゆみやヒリヒリ感
- まだらな赤み
- 小さな赤いブツブツ
- 湿った白いカスや薄い膜
- 包皮のむくみや亀裂
ただし、欧州ガイドラインではカンジダ性亀頭包皮炎は全体の20%未満とされ、カンジダが培養で検出されても、もともとの湿疹や皮膚炎に二次的に増えているだけの場合があると指摘されています。
特に糖尿病、血糖コントロール不良、高齢、免疫機能の低下などがあると起こりやすくなります。SGLT2阻害薬を服用している方では、尿中に糖が排泄される作用に伴い、性器感染症に注意が必要です。
原因2:一般細菌による亀頭包皮炎
黄色ブドウ球菌やレンサ球菌などの一般細菌、酸素の少ない環境で増える嫌気性菌が関与することもあります。
次のような症状がある場合は、細菌感染を考えます。
- 赤みや腫れが強い
- 膿のような分泌物が出る
- 悪臭がある
- 表面がただれて痛い
- 包皮が大きく腫れる
- 鼠径部のリンパ節が腫れる
一方で、細菌が検出されても、それが炎症の主な原因とは限りません。診察所見や症状、培養結果を合わせて判断します。
原因3:洗いすぎ・かぶれ・湿疹
感染症ではなく、刺激性またはアレルギー性の皮膚炎が原因となることもあります。
- 石けんやボディソープで何度も洗う
- 消毒液を使用する
- 香料入りのデリケートゾーン製品を使う
- 新しいコンドームや潤滑剤を使用した
- 市販薬をいくつも塗った
- 汗や尿が長時間付着していた
このような刺激で皮膚のバリア機能が壊れると、赤み、かゆみ、乾燥、皮むけ、ヒリヒリ感が起こります。さらに、その傷んだ皮膚にカンジダや細菌が二次的に増えることもあります。
亀頭包皮炎は性感染症ですか?
亀頭包皮炎の多くが性感染症というわけではありません。カンジダも、性交渉だけが原因ではありません。
ただし、次の症状がある場合は性感染症の検査を検討します。
- 水ぶくれや強い痛みがある
- 治りにくい潰瘍やしこりがある
- 尿道から膿が出る
- 排尿時に強く痛む
- 最近、新しい相手との性交渉があった
- パートナーにも症状がある
ヘルペス、梅毒、淋菌、クラミジアなどは治療方法もパートナーへの対応も異なるため、自己判断で塗り薬だけを使用しないことが大切です。
病院ではどのような検査をしますか?
まず、亀頭・包皮の赤み、腫れ、ただれ、分泌物、潰瘍などを確認します。
必要に応じて、次の検査を組み合わせます。
- 患部のぬぐい液による真菌・細菌検査や培養検査
- 尿検査
- 淋菌・クラミジアなどの性感染症検査
- 血糖値・HbA1cなど糖尿病の検査
- 治りにくい病変に対する皮膚科評価や組織検査
亀頭包皮炎を繰り返す方では、未診断の糖尿病が隠れていないか、糖尿病治療薬を含む服用薬が関係していないかも確認します。
治療は原因によって異なります
カンジダが主な原因なら抗真菌薬、一般細菌が原因なら抗菌薬、湿疹やかぶれが主な原因なら刺激物の中止や炎症を抑える外用薬を検討します。
見た目が似ていても治療は同じではありません。感染症がある状態でステロイドだけを使用すると悪化する可能性があります。市販の水虫薬や複数の軟膏を自己判断で塗り重ねることは避けてください。
受診までにできること
1. 炎症がある間は石けん、ボディソープ、消毒液を患部に使用しない
2. ぬるま湯でやさしく流し、こすらない
3. 洗った後は水分を押さえるように拭き、十分に乾かす
4. 通気性のよい下着に替え、汗をかいたままにしない
5. 性交渉や強い摩擦は、痛みやただれが改善するまで控える
包皮をむいて乾かした場合は、必ず元の位置へ戻してください。包皮が狭い方がむいたままにすると、亀頭が締め付けられる「嵌頓包茎」を起こす危険があります。
早めに受診した方がよい症状
- 腫れや痛みが強い
- 包皮がむけない、またはむいた包皮が戻らない
- 尿が出しにくい、出ない
- 発熱や悪寒がある
- 水ぶくれ、潰瘍、しこりがある
- 膿や悪臭の強い分泌物がある
- 数日たっても改善しない
- 何度も繰り返す
- 糖尿病がある、またはSGLT2阻害薬を服用している
包皮が戻らず亀頭が強く腫れている場合や、尿が出ない場合は緊急性があります。当日中に医療機関を受診してください。
泌尿器科専門医からのメッセージ
「恥ずかしいから」と我慢して、市販薬を何種類も塗ってから受診される方は少なくありません。しかし、亀頭包皮炎は原因によって治療が異なります。
特に夏は、蒸れ、汗、摩擦、洗いすぎが重なりやすい時期です。「不潔だから」と考えて強く洗うのではなく、まず刺激を減らし、治らない場合は原因を確認しましょう。
天拝坂こばやしクリニックでは、亀頭・包皮のかゆみ、赤み、腫れ、分泌物などの診察を行っています。必要に応じて細菌・真菌検査、性感染症検査、尿検査、血糖評価を組み合わせます。
太宰府市、筑紫野市、大野城市、春日市周辺で「おちんちんがかゆい」「亀頭が赤い」「包皮が腫れた」とお悩みの方は、泌尿器科へご相談ください。
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よくある質問
Q1.カンジダはパートナーからうつったのでしょうか?
A1.カンジダは性交渉だけで起こる病気ではありません。皮膚の蒸れ、糖尿病、皮膚炎などを背景に、もともと存在するカンジダが増えて発症することがあります。パートナーに症状がなければ、原則として一律の治療は必要ないとされています。症状がある場合は、それぞれ医療機関へご相談ください。
Q2.市販の水虫薬を塗ってもよいですか?
A2.亀頭や包皮は皮膚が薄く、刺激性皮膚炎を起こすことがあります。また、原因が細菌や湿疹、性感染症だった場合は適切な治療になりません。自己判断での使用は避け、診断を受けることをおすすめします。
Q3.毎日きれいに洗っているのに、なぜ起こるのですか?
Q3.洗いすぎも原因になります。石けんやボディソープを繰り返し使用すると、皮膚のバリア機能が低下して炎症を起こしやすくなります。炎症がある間は、ぬるま湯でやさしく流す程度にしてください。
Q4.何度も繰り返す場合は包茎手術が必要ですか?
A4.すぐに手術が必要とは限りません。まず感染、皮膚炎、糖尿病、包皮の狭さなどを評価します。治療を行っても繰り返す場合や、包皮をむけない状態が続く場合は、手術を含めて個別に検討します。
参考文献
1. Edwards SK, Bunker CB, van der Snoek EM, van der Meijden WI. 2022
European guideline for the management of balanoposthitis. J Eur Acad
Dermatol Venereol. 2023;37:1104-1117.
https://iusti.org/wp-content/uploads/2023/03/2022-European-guideline-for-the-management-of-balanoposthitis.pdf
2. Centers for Disease Control and Prevention. Vulvovaginal Candidiasis
– STI Treatment Guidelines.
https://www.cdc.gov/std/treatment-guidelines/candidiasis.htm
3. 日本糖尿病学会.
糖尿病治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation.
https://www.jds.or.jp/uploads/files/recommendation/SGLT2.pdf
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としています。実際の診断・治療は症状、診察所見、検査結果により異なります。
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