【医師解説】梅毒とは?症状・検査・治療・予防をわかりやすく解説

小林知広

監修

小林知広

日本専門医機構認定 泌尿器科専門医


梅毒は初期症状が軽く見逃されやすい性感染症です。症状・検査・治療・予防を泌尿器科専門医が解説します。


この記事の要約(忙しい方へ)

・梅毒は細菌(梅毒トレポネーマ)による性感染症です
・症状が自然に消えても、治ったわけではありません
・不安があれば、症状の有無に関わらず血液検査で確認することが重要です
・放っておくと全身に広がり取り返しのつかないことになります。治療すれば治ることが多いので早期発見早期治療が大切です。


監修者プロフィール

天拝坂こばやしクリニック 院長
小林 知広(こばやし ともひろ)
日本専門医機構認定 泌尿器科専門医
日本メンズヘルス医学会認定 テストステロン治療認定医


導入|「症状が消えた=治った」と思っていませんか?

梅毒は、初期症状が軽かったり、自然に消えることがあるため、
「様子を見てしまった」「もう治ったと思った」
という理由で受診が遅れることの多い感染症です。

しかし、梅毒は放置すると数年〜数十年かけて全身に影響を及ぼす可能性がある病気です。
一方で、早期に適切な治療を行えば完治が可能という特徴もあります。


梅毒とはどのような病気ですか?

梅毒は、**梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)**という細菌によって起こる性感染症です。
ウイルス感染症ではなく細菌感染症であるため、抗菌薬による治療が可能です
(国立感染症研究所)。

主に、性的な接触によって粘膜や皮膚から感染します。

治療を受けずに放置すると、脳や心臓などに重い合併症を起こすことがあります。
また、妊娠中に感染すると、流産・死産・先天梅毒の原因となることがあるため注意が必要です。


梅毒の症状について|病期ごとに変化します

梅毒の症状は、感染してからの経過(病期)によって異なります。

Ⅰ期(感染後数週間)

・性器、口、肛門などに痛みのないしこりや潰瘍ができる
・鼠径部のリンパ節が腫れることがある

これらの症状は自然に消えることがありますが、治癒ではありません


Ⅱ期(感染後数か月)

・手のひら、足の裏、体に赤い発疹(バラ疹)が出る
・発熱、倦怠感など全身症状を伴うことがある

実際の診療では、この時期に受診される方が多くみられます。

院長のひとことコメント
1期、2期の段階で医療機関を受診することが大切です。
おちんちんや口にできる潰瘍、しこり、皮膚の皮疹などあれれ?と思ったら医療機関を受診することが大切です!



晩期(長期間未治療の場合)

・皮膚や骨に腫瘤ができる
・心臓、血管、脳や神経に障害が生じる

現在では稀ですが、治療を受けなかった場合に起こり得ます


ガイドライン上の位置づけ

梅毒は、早期診断・早期治療が極めて重要な感染症とされています。
日本では国立感染症研究所が注意喚起を行っており、
国際的にはCDC(米国疾病予防管理センター)の
Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021
において、病期別の治療方針が示されています。


院長の臨床実感

診療の現場では、
「症状が消えたから治ったと思っていた」
「ネットで調べて不安になって来院した」
という方が非常に多くみられます。

血液検査を行い、自覚症状がない段階で感染が判明するケースも少なくありません。


梅毒の検査について

梅毒の診断は、
・医師による診察
・血液検査(抗体検査)

によって行います。

多くの医療機関で検査が可能で、地域によっては保健所で匿名・無料検査を受けられる場合もあります。
正確な診断のため、感染の可能性がある時期や行為について医師に伝えることが大切です。


梅毒の治療について

梅毒の治療には、ペニシリン系抗菌薬が第一選択とされています
(CDC Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021)。

病期に応じて、
・内服治療
・筋肉注射
・点滴治療

が選択されます。

症状が改善しても、医師の指示があるまでは自己判断で治療を中断しないことが重要です。

院長のひとことコメント
最近、早期梅毒であれば筋肉注射一回での治療が可能になりました(ステルイズという注射製剤です。しかしながら出荷調整となっており手に入りにくい状態です。2026/2/2現在)


梅毒の予防について

・性交渉時にコンドームを正しく使用する
・皮膚や粘膜に異常がある場合は性的接触を控える
・不安があれば早めに検査を受ける

コンドームは感染リスクを下げますが、100%予防できるわけではありません


よくある質問(Q&A)

Q. 痛みがないので様子を見ても大丈夫ですか?
痛みがなくても感染は進行します。検査を受けることをおすすめします。

Q. 一度治ればもう感染しませんか?
治療で完治しても免疫はつかず、再感染する可能性があります。

Q. パートナーも検査が必要ですか?
必要です。未治療の場合、再感染の原因となります。


まとめ|受診判断の目安

・症状がある
・症状は消えたが心当たりがある
・不安が続いている

これらに当てはまる場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。



監修者プロフィール(完全版)

【監修者】
天拝坂こばやしクリニック 院長
小林 知広(こばやし ともひろ)

【保有資格】

  • 日本専門医機構認定 泌尿器科専門医
  • 日本メンズヘルス医学会認定 テストステロン治療認定医

【経歴】

  • 2009年 島根大学医学部 卒業/武田病院 初期研修
  • 2011年 JR大阪鉄道病院 泌尿器科
  • 2015年 獨協医科大学越谷病院泌尿器科 助教
  • 2017年 京都ルネス病院 泌尿器科・透析科 医長
  • 2024年 天拝坂こばやしクリニック 院長

【受賞歴】

  • 2015年 第34回アンドロロジー学会学術大会
    臨床部門学会賞 受賞
    (論文題:非閉塞性無精子症患者980人におけるAZF遺伝子欠失の頻度と
    TESEでの精子採取率および精巣病理組織像の検討)

【患者様へメッセージ】
「恥ずかしい」「相談しにくい」と感じがちな泌尿器のお悩みやEDについて、
専門医が医学的根拠に基づいて丁寧に診療します。
お一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。


参考文献

1.国立感染症研究所「梅毒とは」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ha/syphilis.html

2.Centers for Disease Control and Prevention
Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021 – Syphilis
https://www.cdc.gov/std/treatment-guidelines/syphilis.htm

3.Peeling RW, et al.
Syphilis. Nature Reviews Disease Primers. 2017.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28198390/

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