寒くなると頻尿になるのはなぜ?困ったら泌尿器科へ
監修
小林知広
日本専門医機構認定 泌尿器科専門医
この記事の要約
寒くなるとトイレが近くなる背景には、冷えによる尿意の変化などがあります。睡眠や外出に困るなら、泌尿器科へ相談してよい症状です。尿の量から考える原因、自宅でできる工夫、早めに受診したい症状をお伝えします。
寒くなると頻尿になるのはなぜ?困ったら泌尿器科へ

小林 知広|天拝坂こばやしクリニック院長
日本専門医機構認定 泌尿器科専門医
朝晩が冷え込むようになってから、トイレの回数が増えた。外に出ると急に行きたくなるし、夜もトイレで目が覚める。「寒いから仕方ない」と、我慢していませんか。
寒さは、頻尿が気になるきっかけになります。ただし、睡眠や外出、仕事に支障が出ているなら、泌尿器科へ相談してよい症状です。
寒さは、膀胱にも刺激になります

膀胱は、ただ尿をためるだけの袋ではありません。筋肉や神経が働いて、尿をためたり、出したりしています。寒さが尿意を伝える神経や膀胱の働きに影響する仕組みが、動物実験などで研究されています。[1]
日本国内の住環境を調べた研究でも、就寝前に過ごす居間の室温が低い人では、過活動膀胱が多いという関連が報告されました。寒さと排尿の悩みには、実際に関係がみられるのです。[2]
一方で、寒い日にトイレが近いからといって、原因が冷えだけとは限りません。飲み物の量や種類、もともとの排尿のトラブルなども、一緒に見ていく必要があります。
回数だけでなく、1回の尿量も見てみる
同じ「頻尿」でも、毎回しっかり量が出る人と、少量ずつ何度も出る人では、考える原因が違います。
毎回の尿量が多いなら、水分のとりすぎや利尿薬などの影響、糖尿病による尿量の増加などを確認します。反対に、少ししか出ないのに何度も行きたくなるなら、尿をためにくくなっていたり、排尿後にも尿が残っていたりしないかを調べます。[3]
急に我慢しにくい尿意が起こり、トイレまで間に合わないことがあるなら、過活動膀胱も考えます。尿漏れがなくても、過活動膀胱のことはあります。[4]
男性で、尿の勢いが弱い、出るまで時間がかかる、すっきり出し切れないといった症状もある場合には、前立腺肥大症などによる尿の出にくさも確認します。「寒くなってから」という情報に、1回の尿量や尿の出方を加えると、原因を探る手がかりになります。[3][7]
冷え対策と、飲み物の見直しから
まずは、足元やお腹を冷やさない服装にして、長く過ごす部屋の寒さを和らげましょう。夜にトイレへ行く際、廊下や脱衣所などで急に体が冷えるなら、その環境を見直すことも一案です。
温かい飲み物でも、コーヒーや濃い緑茶などにはカフェインが含まれます。カフェインを減らすことで、頻尿や急な尿意が軽くなる場合があります。夜のトイレが気になるなら、夕方以降の飲み方や、寝る直前のまとめ飲みも振り返ってみてください。[4]
ただし、トイレを避けるために、水分を極端に減らすのはやめましょう。必要な量は、体格や活動量、持病などでも変わります。心臓や腎臓の病気などで水分量の指示がある方は、その指示に沿って調整してください。[4]
「頻尿だけ」でも、困っているなら受診して大丈夫です
外出先でトイレばかり探してしまう。仕事中に何度も席を立つ。夜のトイレで眠りが途切れ、日中もつらい。こうした困りごとは、そのまま受診する理由になります。
当院では、問診と尿検査を基本に、必要に応じて超音波で排尿後の残尿を測るなどして原因を調べます。検査や治療については、頻尿の原因・検査・治療のページでもご案内しています。
受診前に余裕があれば、3日ほど、トイレに行った時刻・1回の尿量・飲み物の量を記録してみてください。こうした「排尿日誌」は、尿が多いのか、ためにくいのかを見分ける助けになります。記録がなくても受診できます。[5]
排尿時の痛みや、目で見て分かる血尿がある場合は、早めに受診してください。 発熱や悪寒に背中・脇腹の痛みが伴う場合は、その日のうちに医療機関へ。尿がまったく出ない場合や、出にくさに強い下腹部の張り・痛みを伴う場合は、すぐに受診が必要です。時間外は救急外来へ相談してください。[6][7]
寒さへの対策だけで十分なのか、治療が必要な原因があるのか。そこを確かめるのが泌尿器科です。トイレの心配で日常生活に困っているなら、我慢せずにご相談ください。

医学的参考資料
Imamura T, Ishizuka O, Nishizawa O. Cold stress induces lower urinary tract symptoms. Int J Urol. 2013;20(7):661–669. DOI: 10.1111/iju.12129
Ishimaru T, et al. Impact of Cold Indoor Temperatures on Overactive Bladder: A Nationwide Epidemiological Study in Japan. Urology. 2020;145:60–65. DOI: 10.1016/j.urology.2020.08.020
European Association of Urology. Non-neurogenic Female LUTS — Disease Management.
European Association of Urology. Management of Non-neurogenic Male LUTS — Diagnostic Evaluation.