精索静脈瘤とは?男性不妊の最多原因を泌尿器科専門医が解説

精索静脈瘤とは?男性不妊の最多原因を泌尿器科専門医が解説

監修

小林知広

日本専門医機構認定 泌尿器科専門医

この記事の要約

「陰嚢に違和感がある」「男性不妊と言われた」「精子の数が少ない・運動精子が少ない」「なかなか子供が授からない」——その背景に精索静脈瘤があるかもしれません。精索静脈瘤は、治療によって改善が期待できる男性不妊の原因として最も多く、手術による精液所見の改善が報告されている疾患です。この記事では、症状・原因・検査・治療について、泌尿器科の中でもアンドロロジー(男性医学)を専門とする天拝坂こばやしクリニックの院長がわかりやすく解説します。

この記事の要約

✅ 精索静脈瘤は、陰嚢内の静脈が拡張してこぶ状になる、ありふれた状態です

✅ 治療で改善が期待できる男性不妊の原因として最も多く、精液所見の悪化につながることがあります

✅ 多くは左側に起こり、立ったときの陰嚢の違和感や見た目の変化で気づくことがあります

✅ 精液検査・触診・超音波検査で診断します

✅ 手術(精索静脈瘤結紮術)で精液所見の改善が報告されており、男性不妊治療の選択肢のひとつです

この記事を読むべき人

  • 陰嚢に違和感・腫れ・見た目の変化を感じる方

  • 精液検査で精子の数や運動率が低いと言われた方

  • 男性不妊を指摘された・妊活中の方

  • 精索静脈瘤と診断され、治療を迷っている方

読了時間:約7分

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監修医師

小林 知広(こばやし ともひろ) 天拝坂こばやしクリニック 院長

日本専門医機構認定 泌尿器科専門医/日本メンズヘルス医学会認定 テストステロン治療認定医

院長は獨協医科大学越谷病院でアンドロロジー(男性医学)・男性不妊専門外来を担当。男性不妊・精子に関する研究を国際誌に発表し、日本泌尿器科学会 男性不妊診療ガイドライン2024にも引用されています。


精索静脈瘤とは

精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)とは、精巣(睾丸)から心臓へ血液を戻す静脈が拡張し、陰嚢の中でこぶ(瘤)のようにふくらんだ状態のことです。

足に「静脈瘤」ができるのと同じように、陰嚢の中の静脈にも血液のうっ滞(たまり)が起こり、血管がこぶ状に膨らみます。

決してめずらしいものではなく、一般成人男性のおよそ10〜15%に見られるとされています。ただし、その中には精液所見に影響し、男性不妊の原因となる方が一定数います。


なぜ男性不妊と関係するのか

精索静脈瘤は、治療によって改善が期待できる男性不妊の原因として最も多いものです。原発性(これまで子どもがいない)男性不妊の方の約35〜40%、続発性(過去に子どもがいたが二人目以降が難しい)男性不妊の方では最大で約70〜80%に見つかるという報告もあり、男性不妊と深く関わっています。

精子への影響のメカニズム

静脈に血液がうっ滞すると、次のような変化が起こると考えられています。

  • 精巣の温度が上がる:精子は体温より少し低い温度で作られるため、温度上昇は精子形成に不利に働きます

  • 精巣への血流・酸素供給が悪くなる

  • 有害な物質(活性酸素など)がたまり、精子がダメージを受けやすくなる

これらにより、精子の数の減少・運動率の低下・形態の異常などが起こることがあります。

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こんな症状はありませんか

精索静脈瘤は無症状のことも多いですが、次のような症状で気づくことがあります。

  • 立っているときや入浴後に、陰嚢に違和感・鈍い痛みがある

  • 陰嚢の表面に、血管が浮き出て見える・ふくらみを触れる

  • 陰嚢の左側が下がって見える・腫れている感じがする

  • 長時間立っていると陰嚢の不快感が強くなる

  • 精液検査で精子の数や運動率が低いと指摘された

多くは左側に起こります。これは左側の静脈が解剖学的に血液がうっ滞しやすい構造のためです。


考えられる原因

精索静脈瘤は、静脈の中の血液が逆流・うっ滞することで起こります。

  • 静脈弁の機能不全:血液の逆流を防ぐ弁がうまく働かず、血液が逆流してたまる

  • 解剖学的な要因:左側の精巣静脈は腎静脈に直角に合流するため、血液がうっ滞しやすい

思春期以降に発生することが多く、多くは自然に消えることはありません。

なお、急に右側だけに精索静脈瘤が現れた場合や、横になっても改善しない場合は、まれに腹部の病気が背景にあることもあるため、医師にご相談ください。


受診の目安

  • 精液検査で精子の数・運動率・形態に問題を指摘された方

  • 妊活をしているがなかなか妊娠しない方

  • 陰嚢の違和感・痛み・見た目の変化が続く方

  • 健診や他院で精索静脈瘤を指摘された方

特に、妊娠を希望されていて精液所見に問題がある場合は、精索静脈瘤の有無を調べることをおすすめします。


当院での診察・検査

  • 問診:症状、妊活の状況、これまでの経過を確認します

  • 視診・触診:立った状態で息をこらえてお腹に力を入れていただき(バルサルバ法)、陰嚢の静脈のふくらみを確認します

  • 超音波(エコー)検査:静脈の拡張の程度や血液の逆流を確認します

  • 精液検査:精子の数・運動率・形態などを評価します(妊活・男性不妊の場合)

精索静脈瘤には重症度(グレード)があり、触診で分かるものから、超音波検査で初めて分かるもの(亜臨床性)まであります。触診と超音波検査を組み合わせて評価します。


診断・評価の考え方

精索静脈瘤があるからといって、全員に治療が必要なわけではありません。無症状で妊娠を希望していない場合は、経過観察となることもあります。

一方で、精液所見の悪化を伴い、妊娠を希望している場合や、症状(痛み・違和感)が強い場合には、治療を検討します。症状・精液検査の結果・妊娠の希望などを総合して、治療が必要かどうかを判断します。


治療について

経過観察

無症状で妊娠の希望がない場合は、経過を見ることもあります。

手術(精索静脈瘤結紮術)

治療が必要な場合の中心となるのが、拡張した静脈を縛って血液の逆流を止める手術です。

  • 顕微鏡を用いた方法など、いくつかの術式があります

  • 手術によって精液所見の改善が期待でき、自然妊娠につながる方もいます(精液所見の改善と妊娠率の関係については、なお研究が続けられている領域です)

  • 男性不妊に対する治療の中では研究の蓄積があり、精液所見の改善が報告されている治療です(ただし、どのような方に最も効果があるかは個々の状況によります)

手術後、精子が作られるサイクル(約3か月)を経て、精液所見が徐々に改善してくることが期待されます。ただし、効果には個人差があります。

当院では診察・超音波検査・精液検査で評価を行い、手術が必要な場合は連携する専門医療機関へご紹介します。


よくある質問

Q. 精索静脈瘤があると、必ず不妊になりますか?

A. いいえ。精索静脈瘤があっても、自然に子どもを授かる方は多くいます。ただし精液所見に影響することがあるため、妊活中で精子に問題がある場合は評価をおすすめします。

Q. 手術をすれば必ず妊娠できますか?

A. 手術で精液所見の改善が期待できますが、妊娠を保証するものではありません。効果には個人差があり、パートナーの状況も含めて総合的に考える必要があります。

Q. 痛みがなければ放置してもいいですか?

A. 無症状で妊娠を希望していない場合は経過観察でよいこともあります。ただし、妊活中の方や症状がある方は一度ご相談ください。

Q. 精索静脈瘤は自然に治りますか?

A. 多くの場合、自然に消えることはありません。治療が必要かどうかは、症状や妊娠の希望に応じて判断します。

Q. 何科を受診すればいいですか?

A. 泌尿器科です。特に男性不妊やアンドロロジーを扱う泌尿器科での評価が適しています。


まとめ

  • 精索静脈瘤は陰嚢内の静脈が拡張してこぶ状になる、ありふれた状態

  • 男性不妊の原因として最も多く、精液所見の悪化につながることがある

  • 多くは左側に起こり、立位での陰嚢の違和感や見た目で気づくことがある

  • 精液検査・触診・超音波検査で診断する

  • 手術で精液所見の改善が報告されており、男性不妊治療の選択肢のひとつ

  • 無症状で妊娠希望がなければ経過観察となることもある

陰嚢の違和感や男性不妊は、ひとりで悩みがちなテーマです。当院ではアンドロロジーを専門とする泌尿器科専門医が対応します。どうぞお気軽にご相談ください。

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太宰府市で男性不妊・精索静脈瘤のご相談なら

天拝坂こばやしクリニックでは、アンドロロジー(男性医学)を専門とする泌尿器科専門医が、精索静脈瘤・男性不妊の診断・評価を行っています。

こんな方はご相談ください:

  • 陰嚢の違和感・腫れ・見た目の変化がある

  • 精液検査で精子に問題を指摘された

  • 妊活中でなかなか妊娠しない

  • 精索静脈瘤を指摘された

手術が必要な場合は、連携する専門医療機関へご紹介します。

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監修者

天拝坂こばやしクリニック 院長 小林 知広(こばやし ともひろ)

日本専門医機構認定 泌尿器科専門医/日本メンズヘルス医学会認定 テストステロン治療認定医

経歴:1984年広島県尾道市生まれ/2009年島根大学医学部卒/〜2017年獨協医科大学越谷病院 助教(アンドロロジー・男性不妊専門外来)/〜2024年京都ルネス病院 部長/2024年10月 天拝坂こばやしクリニック開院

学術賞:第34回日本アンドロロジー学会学術集会 臨床部門賞(2015年)

英語査読論文(PubMed収録):

  1. Kobayashi T, et al. A questionnaire survey on attitude toward sperm cryopreservation among hematologists in Japan. Int J Hematol. 2017;105(3):349-352. PMID: 27844197

  2. Shin T, Kobayashi T, et al. Microdissection testicular sperm extraction in Japanese patients with persistent azoospermia after chemotherapy. Int J Clin Oncol. 2016;21(6):1167-1171. PMID: 27306218

  3. Iwahata T, Shin T, Kobayashi T, et al. Testicular sperm extraction for patients with spinal cord injury-related anejaculation. Int J Urol. 2016;23(12):1024-1027. PMID: 27766729


参考文献

  1. 日本泌尿器科学会・日本生殖医学会. 男性不妊症診療ガイドライン 2024.

  2. 日本泌尿器科学会. 精索静脈瘤診療の手引き.

  3. Practice Committee of the American Society for Reproductive Medicine. Report on varicocele and infertility: a committee opinion. Fertil Steril. 2014.

  4. EAU Guidelines on Sexual and Reproductive Health – Varicocele section.

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