EDと睡眠時無呼吸症候群は関係する?いびき・日中の眠気がある男性へ

EDと睡眠時無呼吸症候群は関係する?いびき・日中の眠気がある男性へ

小林知広

監修

小林知広

日本専門医機構認定 泌尿器科専門医

この記事の要約

EDと睡眠時無呼吸症候群(SAS)には関連が報告されています。いびき、日中の眠気、肥満、夜間頻尿、朝立ちの減少がある方は要注意。太宰府市の泌尿器科専門医が、睡眠と勃起機能、テストステロン、CPAP治療との関係を解説します。

EDと睡眠時無呼吸症候群は関係する?いびき・日中の眠気がある男性へ

「EDになってきたのは年齢のせいかな」

そう考える方は少なくありません。

しかしED(勃起不全)は、単に年齢や性機能だけの問題ではありません。血管、神経、男性ホルモン、生活習慣、心理状態など、さまざまな要因が関係します。

そして、見落とされやすい要因の一つが「睡眠」です。

特に、

「大きないびきをかく」
「寝ている間に呼吸が止まっていると言われる」
「昼間に強く眠くなる」
「十分寝ても疲れが取れない」

という方では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)、特に閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)が隠れている可能性があります。NIHも、OSAの症状として大きないびき、睡眠中の呼吸停止、息苦しさ、日中の眠気のほか、性機能低下や夜間頻尿を挙げています。

この記事では、EDと睡眠時無呼吸症候群にどのような関係があるのか、現在の研究をもとに泌尿器科専門医の立場から解説します。

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この記事の要約

・睡眠時無呼吸症候群とEDには関連が報告されていますが、「睡眠時無呼吸がEDを直接引き起こす」と単純に断定できる段階ではありません。

・間欠的な低酸素、睡眠の分断、血管内皮機能、肥満・高血圧・糖尿病などの共通リスク因子が複合的に関係すると考えられています。睡眠障害は現在のEAUガイドラインでもEDに関連するリスク因子の一つとして挙げられています。

・EDに加えて「いびき」「日中の強い眠気」「夜間頻尿」「肥満」などがある場合は、EDだけを見るのではなく、睡眠や生活習慣病を含めて原因を考えることが重要です。

睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が繰り返し止まったり浅くなったりする病気です。

中でも多いのが「閉塞性睡眠時無呼吸(OSA:Obstructive Sleep Apnea)」で、睡眠中に舌や軟口蓋などによって上気道が狭くなり、空気の流れが妨げられます。肥満や加齢などはOSAのリスク因子です。

本人は眠っているため、呼吸が止まっていることに気づいていないことも少なくありません。

以下のような症状がヒントになります。

・大きないびき
・家族から「寝ている間に呼吸が止まっている」と言われる
・睡眠中に息苦しくなって目が覚める
・昼間の強い眠気
・朝起きても疲れが残る
・夜中に何度もトイレへ行く
・性欲や性機能の低下

こうした症状がある場合には、睡眠時無呼吸症候群を一度疑う価値があります。

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EDと睡眠時無呼吸症候群には本当に関係がある?

結論から言えば、「関連を示す研究は多数ありますが、因果関係は単純ではありません」。

重症OSAの男性94人を調べた研究では、IIEF-5でEDと判定された男性は64人、68.1%でした。さらに6〜12か月のCPAP治療後、特に中等度〜重度ED群では勃起機能の改善が認められています。

一方で、より新しい研究を見ると話は少し複雑です。

2026年に発表されたUK Biobankの男性155,688人を対象とした前向き研究では、OSAやいびきそのものは、他の因子を調整した後では新たなED発症との有意な関連を示しませんでした。

その一方で「強い日中の眠気」がある男性ではEDリスクが高く、HR 2.05という結果が報告されています。

2025年の別の縦断研究でも、OSAとEDの関連は認められたものの、年齢などを考慮するとOSA自体の独立した影響は明確ではありませんでした。

つまり、

「睡眠時無呼吸=EDの原因」

と一対一で考えるのではなく、

「睡眠時無呼吸とEDには、血管障害、肥満、糖尿病、高血圧、加齢、睡眠の質、男性ホルモンなど複数の共通因子が絡んでいる」

と考えるのが現時点では適切です。

EDそのものの原因や治療については、
ED(勃起不全)の治療についてはこちら
で詳しく解説しています。

なぜ睡眠が悪いと勃起機能に影響するのでしょうか?

勃起は、単純に性欲だけで起こる現象ではありません。

神経、血管、男性ホルモン、自律神経などが複雑に連携して成立しています。

睡眠障害がEDに関係する可能性として、主に以下のメカニズムが考えられています。

1.睡眠中の低酸素と血管内皮機能

OSAでは、睡眠中に呼吸停止と再開を繰り返します。

そのため血液中の酸素濃度が低下する「間欠的低酸素」が繰り返されます。

勃起には陰茎海綿体へ十分な血液が流れ込むことが必要で、その過程には一酸化窒素(NO)を介した血管拡張が重要です。

OSAでは酸化ストレスや血管内皮機能の障害などを介して、この仕組みに悪影響を与える可能性が指摘されています。

これは「EDは陰茎だけの問題ではなく、血管の状態を反映することがある」という考え方にもつながります。

2.睡眠が分断され、夜間の自然な勃起が減る可能性

男性は睡眠中、特にREM睡眠に関連して自然な勃起を繰り返します。

2026年のレビューでは、REM睡眠の分断や睡眠障害によって、睡眠関連勃起、自律神経、血管機能などに影響が生じる可能性が整理されています。

「最近、朝立ちが明らかに減った」という変化は、ED診療でも参考になる情報の一つです。

ただし、朝立ちがないことだけで睡眠時無呼吸症候群と診断できるわけではありません。

3.肥満・糖尿病・高血圧など「共通の原因」がある

ここは非常に重要です。

睡眠時無呼吸症候群とEDには、

・肥満
・高血圧
・糖尿病
・脂質異常症
・加齢
・運動不足

など共通する背景因子があります。

EAUのEDガイドラインでも、糖尿病、高血圧、肥満、メタボリックシンドローム、心血管疾患などはEDと関連する重要な因子として挙げられています。睡眠障害も関連因子の一つです。

したがって、

「ED薬だけ飲めば終わり」

ではなく、EDをきっかけに血圧、血糖、脂質、体重、睡眠などを見直すことが重要な場合があります。

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睡眠時無呼吸とテストステロンは関係する?

関係が報告されていますが、ここも単純ではありません。

2026年の米国成人男性2,218人を対象とした研究では、OSAリスクが高い群で総テストステロンとSHBGが低い傾向が認められました。

一方、自由テストステロンとの明確な関連は認められず、肥満の影響も大きいことが示されています。

つまり、

「睡眠時無呼吸がある=必ず男性ホルモンが低い」

わけではありません。

EDだけでなく、

・性欲が落ちた
・疲れやすい
・やる気が出ない
・集中力が低下した
・筋力が落ちてきた

などがある場合には、睡眠だけでなく男性更年期障害(LOH症候群)も鑑別に入ります。

男性ホルモン低下については、
男性更年期障害(LOH症候群)の症状と治療
もご覧ください。

「ED+夜間頻尿」も睡眠時無呼吸のヒントになることがあります

泌尿器科では、ED以外にも意外なところから睡眠時無呼吸を疑うことがあります。

それが「夜間頻尿」です。

睡眠時無呼吸症候群では、夜間に何度も排尿する症状との関連が報告されています。系統的レビューでもOSA、夜間頻尿、EDの関連が検討されています。

「前立腺が悪いから夜にトイレへ行く」

と思われがちですが、中高年男性の夜間頻尿は前立腺だけが原因とは限りません。

実際には、

・前立腺肥大症
・過活動膀胱
・糖尿病
・睡眠障害
・睡眠時無呼吸症候群
・心疾患や浮腫
・過剰な水分やアルコール摂取

などさまざまな原因があります。

当院の
頻尿・夜間頻尿の原因と治療
でも、睡眠時無呼吸症候群を夜間頻尿の原因の一つとして解説しています。

「ED+いびき+夜間頻尿」という組み合わせがある場合には、性機能と排尿を別々に考えず、睡眠を含めて全身を見直すことが重要です。

CPAPでEDは改善しますか?

睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療の一つがCPAP(持続陽圧呼吸療法)です。

CPAPは睡眠中に気道へ空気を送り、気道が閉塞するのを防ぐ治療です。OSAでは睡眠検査などによる評価を行ったうえで、重症度や症状に応じて治療が検討されます。

EDについても、CPAP治療後に勃起機能が改善した研究があります。

先ほど紹介した重症OSA男性94人の研究では、6〜12か月のCPAP治療により、中等度〜重度EDを持つ男性で勃起機能の改善が報告されました。

ただし、

「CPAPをすればEDが治る」

と考えるのは適切ではありません。

2014年に重症OSAとEDを持つ男性82人を対象としてCPAPとシルデナフィルを比較したランダム化試験では、12週間のED改善効果はシルデナフィル群の方が大きいという結果でした。

2023年のシステマティックレビュー・メタ解析でも、CPAPによる性機能改善は報告されていますが、EDに対する直接的な効果はPDE5阻害薬の方が大きい傾向でした。

つまり、

「睡眠時無呼吸症候群の治療」と
「EDそのものの治療」は、

必要に応じて並行して考えることが重要です。

ED治療薬を飲めば、睡眠の問題は無視してよい?

おすすめしません。

ED治療薬は勃起を助ける有効な治療選択肢ですが、睡眠時無呼吸症候群そのものを治療する薬ではありません。

反対に、CPAPだけで全員のEDが改善するわけでもありません。

大切なのは、

「何がEDに関係しているのか」

を整理することです。

特に、

・いびきが大きい
・呼吸が止まっていると言われた
・昼間に眠くて仕方がない
・肥満がある
・高血圧がある
・糖尿病がある
・夜中に何度もトイレへ行く
・朝立ちが減った
・ED治療薬の効果が十分ではない

という方では、睡眠を含めた評価を検討する価値があります。

ED治療薬が十分に効かない場合については、
ED飲み薬が効かない・飲めない方へ|内服以外の治療選択肢
でも詳しく解説しています。

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泌尿器科でEDを相談する意味

EDは「性行為のためだけの問題」と考えられがちですが、診療ではもう少し広く考えます。

EDの背景には、

・血管の問題
・糖尿病
・高血圧
・脂質異常症
・肥満
・男性ホルモン低下
・薬剤
・心理的ストレス
・睡眠障害

などが隠れていることがあります。EAUガイドラインでも、ED患者では病歴、性生活歴、診察、代謝・ホルモンを含む評価を通じて原因やリスク因子を確認することが推奨されています。

EDが気になったことをきっかけに、自分の健康状態を見直す。

これは非常に合理的な考え方です。

EDの原因・治療法について詳しく見る

院長からひと言

EDの診察では「薬を出して終わり」にせず、その背景を見ることが大切だと考えています。

特に、

「太ってきた」
「血圧が高い」
「最近いびきがひどい」
「昼間に眠い」
「夜何度もトイレへ行く」
「朝立ちが減った」

という症状が重なっている場合、勃起機能だけを切り離して考えない方がよいことがあります。

一方で、「睡眠時無呼吸があるからEDになった」と決めつけることも適切ではありません。

EDは血管、ホルモン、神経、心理状態、生活習慣など多くの因子が関係するため、それぞれを整理していくことが重要です。

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よくある質問

Q1.睡眠不足だけでもEDになりますか?

慢性的な睡眠不足や睡眠の質の低下は、自律神経、血管機能、ホルモン環境などを介して性機能に影響する可能性があります。

ただしEDにはさまざまな原因があるため、「睡眠不足だけが原因」とは限りません。

Q2.いびきをかく人はEDになりやすいのですか?

いびきだけでEDリスクを判断することはできません。

2026年の大規模研究でも、他の因子を調整すると、いびきやOSAそのものと新規EDとの有意な関連は確認されませんでした。一方、強い日中の眠気はEDリスクとの関連を示しました。

大きないびきに加えて、無呼吸、日中の眠気、肥満などがある場合にはOSAの評価を検討します。

Q3.CPAPを始めればED薬は不要になりますか?

必ずしもそうではありません。

CPAP治療によってEDが改善する方はいますが、ED改善の程度には個人差があります。ED治療とOSA治療を並行して行うことが必要な場合もあります。

Q4.EDと男性更年期、睡眠時無呼吸は同時に起こりますか?

併存する可能性があります。

ただし、症状だけでは区別できません。

性欲低下、倦怠感、意欲低下などがある場合には、必要に応じてテストステロンを含めた評価を行います。

男性更年期障害(LOH症候群)について詳しく見る

Q5.EDは何科を受診すればよいですか?

EDは泌尿器科で相談できます。

睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には、症状や検査結果に応じて睡眠医療を扱う診療科・医療機関での評価が必要になることがあります。

太宰府市・筑紫野市周辺でEDにお悩みの方へ

EDは非常に相談しにくい症状ですが、年齢だけで片づけず、原因を整理することが重要です。

天拝坂こばやしクリニックでは、EDをはじめとする男性の性機能について泌尿器科の立場から診療しています。

EDに加えて、

「いびきがひどい」
「昼間眠い」
「朝立ちが減った」
「夜中に何度もトイレへ行く」
「性欲も落ちている」

などがある場合は、診察時に一緒にお伝えください。

睡眠、生活習慣病、男性ホルモンなどを含め、必要な評価を整理していきます。

EDの診療内容については、
ED(勃起不全)治療ページ
をご確認ください。

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参考文献

1. European Association of Urology. Management of Erectile Dysfunction, EAU Guidelines on Sexual and Reproductive Health.
EAU Guidelines

2. Zhou H, et al. Association between obstructive sleep apnea and male sexual dysfunction: a prospective cohort study based on 155,688 participants from the UK Biobank. Scientific Reports. 2026.
PubMed

3. Schulz R, et al. CPAP therapy improves erectile function in patients with severe obstructive sleep apnea. Sleep Med. 2019;53:189-194.
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4. Pastore AL, et al. Severe obstructive sleep apnoea syndrome and erectile dysfunction: a prospective randomised study to compare sildenafil vs. nasal continuous positive airway pressure. Int J Clin Pract. 2014;68:995-1000.
PubMed

5. Irer B, et al. Is Continuous Positive Airway Pressure a Valid Alternative to Sildenafil in Treating Sexual Dysfunction among OSA Patients? A Systematic Review and Meta-Analysis. Medicina. 2023.
PubMed

6. Zhouらとは別のEPISONO longitudinal study. Unraveling the intersection of sleep disorders and erectile dysfunction. Andrology. 2025.
PubMed

7. National Heart, Lung, and Blood Institute. Sleep Apnea.
NHLBI Sleep Apnea


1.ED総合ページ

https://tenkoba.clinic/mens/ed/

「EDの主な原因」の末尾へ追加:

「EDでは高血圧・糖尿病・肥満などに加えて、睡眠障害が関与している場合があります。いびきや日中の眠気が強い方は『EDと睡眠時無呼吸症候群の関係』もご覧ください。」

アンカーテキスト:
「EDと睡眠時無呼吸症候群の関係」

2.50代ED記事

https://tenkoba.clinic/column/1107/

「なぜ50〜60代に多いのか」の後へ追加:

「EDには睡眠の状態も関係する可能性があります。特に、肥満・いびき・日中の眠気を伴う場合には睡眠時無呼吸症候群も鑑別の一つになります。」

アンカーテキスト:
「睡眠時無呼吸症候群とEDについて」

3.男性更年期ページ

https://tenkoba.clinic/medical/loh/

「考えられる原因」または「検査」の前へ追加:

「疲れやすさ、性欲低下、EDなどは男性更年期障害だけでなく、睡眠障害でもみられることがあります。いびきや日中の眠気が強い場合は、睡眠時無呼吸症候群についても確認が必要です。」

アンカーテキスト:
「EDと睡眠時無呼吸症候群」

4.頻尿ページ

https://tenkoba.clinic/medical/frequent-urination/

現在の「睡眠時無呼吸症候群:夜間頻尿の原因になることがある」の部分から今回の記事へリンク。

アンカーテキスト:
「睡眠時無呼吸症候群とED・夜間頻尿の関係」

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